駅探(3646 東証マザーズ)

2013/02/28

2013 年3 月期第3 四半期決算の発表を受けて、事業環境、戦略、今後の業績見通し
等をアップデート

業種:通信業
アナリスト:宮永雅好

◆2013/3期第3四半期は売上・利益ともに苦戦
・2013年3月期第3四半期決算は、通期会社予想に対する進捗率でみると、売上高70.7%、営業利益41.3%、純利益39.6%と厳しい状況にある。会社予想に達するためには、第4四半期会計期間で、売上高764百万円(前年比9%増)、営業利益293百万円(同123%増)となることが求められる。
・会社のコメントは、期末かけてASPライセンス事業で大型案件があることから予想達成は可能としている。しかしながら、利益面では、第3四半期に絞った販促費が第4四半期には拡大することも考えられ、会社予想を達成することは容易ではないと思われる。当センター予想は、前年比で30%以上の減益を見込む。

◆スマホ時代の携帯コンテンツ会社の課題と戦略
・スマートフォンへのシフトが急速に進んだことで、同社を始めとした携帯コンテンツ事業者では環境変化が生じている。それは、①フィーチャーフォンからスマホへの乗換に伴うコンテンツ契約の解約、②スマホユーザー獲得のために新たな広告宣伝や販促コスト発生、③スマホ時代におけるキャリアのコンテンツ戦略の変化、④スマホユーザー増加に伴う無料会員の増加、など。
・同社は、まず会員数の拡大を重要な戦略としているが、キャリアショップにおける販促に加えて無料会員からの有料会員へのシフト戦略や会員の加入期間を長期にする戦略が重要になろう。

◆株価はすでに今期の業績悪化を織り込み済み
・株式市場全体が昨年末から大きく上昇する中で、同社株価が市場の上げに連動していないのは、今期の業績悪化が懸念されていることは明らかである。当センター今期予想EPS(35.4円)でみたPERは12.5倍であり、現在の株価(442円)に特に割安感はない。
・今期は会社予想を下回る着地を予想するが、会員数の減少に歯止めがかることで、2014年3月期以降は売上・利益ともに緩やかな回復を予想する。リスクとしてはスマホ向け会員の獲得コスト増やキャリアの課金システムの変化などが挙げられる。

◆来期の業績予想と配当政策が株価に影響を与えそう
・今後の株価を占うポイントとしては2014年3月期の業績見通しが重要。当センター予想に基づくPERは、来期ベースで12.2倍、2016年3月期で10.0倍であり、ほぼ妥当な水準と思われる。
・現状の株価は、相対的に高い配当利回りによって下支えされることが想定されるが、来期以降減配になると、業績の見通し次第では株価の調整も考えられよう。

>>続きはこちら(787KB)


一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。