株式会社キャンバス(4575 Growth)
治験薬製造プロセスの課題はひと山越えた

2026/03/11

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

欧州でのPhase3開始に向けた現況
2024年2月、キャンバスが欧州でのPhase3を目指すことを決定してから、ほぼ2年の歳月が流れた。また、2025年4月に「時期の不確実性」という言葉が浮上してから1年近く経過している。2025年8月に、治験薬の製造・製剤化に関する欧州と米国の規制の細やかな違いや欧州自体の規制の変動のため、キャンバスとEMAとの間で、治験薬の製造・製剤化プロセスに関する対応が続いていることが明らかとなった。臨床試験のプロトコルがキャンバスの計画に概ね沿ったもので決着する感触を得られており、臨床試験の内容に関して問題が発生しているわけではないが、治験薬の製造・製剤化プロセスに関する重層的な安全性確保のためひとつひとつ課題をクリアしてきたところである。Phase3準備費用の支出の推移をみると、一旦2025年1-3月期から7-9月期まで各四半期2億円程度に拡大したものの、10-12月期には、それ以前の水準まで落ち着いてきている。現時点では、製造・製剤化プロセスに関する対応はひと山越えたようである。ただし、依然として「時期の不確実性」は残っている。創薬ベンチャーから製薬会社へモデルチェンジするための試練と受け止め、忍耐強く、キャンバスの努力を注視していきたい。

CBT005の開発状況
CBT005はCBP501に次ぐキャンバスの免疫系に作用する有望な薬剤候補品である。 CBT005は、現在注目を集めている創薬分野の一つであるペプチドを用いたPDC(ペプチド薬物複合体)の一つである。薬物部分はTLRアゴニストとなっており、抗原提示細胞のTLRを刺激して、CD8T細胞(キラーT細胞)を活性化する狙いがある。しかし、TLRは全身の細胞に存在するため、がん細胞のみを標的とする工夫(DDS;Drug Delivery System)が必要である。CBT005はDDSを担う部分として、ADC(抗体薬物複合体)で用いられる抗体ではなくペプチドを採用している。現在は、前臨床試験の準備中で、薬剤の大量合成を準備している一方、それと並行してさらなる改善(具体的には、他のTLRアゴニストの臨床試験で報告されている副作用の軽減や薬効の向上)を検討しているところである。改善の成果があれば、改善品をCBT006として大量合成し、早期の前臨床試験開始につなげる予定である。

Phase3途中まで現有キャッシュで対応可能
2025年12月末の現預金残高は22億1百万円である。 CBP501の欧州Phase3全体ではあと40-45億円の費用が見込まれる。CBP501の臨床開発費用の他、基礎研究費が年間4億円と販管費が年間3億円程度発生する。現有の資金で、Phase3の最後まで完遂、いうわけにはいかないが、1年以内にPhase3が開始されれば、必要な資金の3分の1から半分ほどの資金は確保されているものと見込まれる。したがって、次の資本政策に関しタイミングや方法等を検討する十分な余裕が存在するが、Phase3試験開始承認というGood newsにより株価が高くなった水準で資金調達が行われれば、既存株主にとって希薄化の度合いも軽度となろう。

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