GCC経営™分析レポート:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(東証グロース 証券コード:6573)
ファンの熱量が未来を創るアジャイルメディア・ネットワークの挑戦と可能性

2025/03/25

ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修

“好き”を価値に変える、ファンマーケティングのパイオニア

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(AMN)は、アンバサダーマーケティング事業の基盤をもとに、事業多角化に向けた積極的な取り組みを展開しています。2024年10月に実施した第11回~第13回新株予約権の発行により最大約23億円の資金調達を計画し、うち約18億円をM&Aおよび新規事業投資に充当する方針です。この資金を活用し、and health株式会社を通じた高気圧酸素機器事業、グローリー社の子会社化による幼児用教育分野への展開など、複数の事業領域での成⾧機会を模索しています。現状では継続企業の前提に関する重要な疑義が存在していますが、JPRは、2025年の売上高683百万円から2027年に黒字化を経て、2035年には150億円規模への成⾧可能性があるとみています。こうした事業拡大と収益構造の改善が実現すれば、ROICは2035年に47.3%まで向上し、株主価値の増加も期待できます。ただし、新規事業展開に伴う先行投資負担や収益化の遅延リスクも存在します。今後はこれらの投資が業績に反映されるか、特に2027年頃の黒字化実現が注目点となります。AMNの事業転換と資金調達は意欲的で、成功すれば成⾧ポテンシャルを秘めていますが、投資判断には慎重さが求められます。

価値の共鳴が生み出す、次世代ファンマーケティングの姿

AMNは、ファンマーケティングの先駆者としての強みを活かし、革新的な成⾧戦略の四軸で市場変革を進めています。LINE連携や自動化機能によるテクノロジー基盤の強化は、顧客体験を一変させる可能性を秘め、企業とファンの関係をより自然で有機的なものへと発展させています。広告代理店や地域企業との戦略的パートナーシップは、同社のノウハウと地域密着型ネットワークの融合により新たな相乗効果を生み出し、全国各地でのファンマーケティング実践事例を創出しています。グローリー社の子会社化に代表されるM&A戦略は、ファンマーケティングの可能性を拡張し、異なる領域との融合による新市場創造の原動力となっています。これらの戦略が互いに共鳴するとき、AMNは「好き」という感情を社会的・経済的価値へと変換する触媒となり、企業価値の向上へとつながります。

2027年12月期の黒字化が視野に入れば株価は3-6倍

アンバサダープログラムからSaaS型プラットフォームへの戦略的転換を核とし、多角化を成⾧の礎とする経営戦略により、アジャイルメディアの成⾧軌道は⾧期的に持続すると予測されます。JPRの財務モデルによれば、2035年12月期までに売上高はCAGRで36.1%の成⾧を実現し、ROICは現在の-56.8%から2027年に黒字化を経て、2035年には47.3%という高水準に到達する見込みです。加重平均資本コスト(WACC)7.1%を大幅に上回るこの収益性向上は、持続的な株主価値創造の原動力となります。こうした成⾧シナリオに基づく理論株価は、2035年には503円(現状の約6倍)に到達する可能性があります。ただし、新株予約権の行使による希薄化効果を考慮すると、実質的な株価上昇率は3倍程度と見るのが妥当でしょう。最近の業績低迷が短期的な株価に与えている影響は否めませんが、多角化の推進により、今後のアップサイドが期待されます。特に2027年とされる黒字化達成が実現すれば、株価再評価の重要な転換点となるでしょう。市場拡大とビジネスモデル転換を前提とした本試算は、同社の中⾧期的な成⾧ポテンシャルを示唆していますが、財務モデルの詳細を踏まえた慎重な投資判断が求められます。

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