株式会社メドレックス(4586 Growth)
紆余曲折から脱却の契機
ベーシック ・ レポート改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
紆余曲折の連続
これまでのところ、メドレックスの歩みは、紆余曲折の連続であった。リドカイン・テープ剤Lydolyteを巡って、FDAより3度も審査完了報告通知(Complete Response Letter)を受領し、承認が当初の目論見より3年以上遅れることとなった。また、次の大型開発品であるチザニジン・テープ剤(MRX-4TZT)の開発を巡って、導出先のCipla社の方針変更があり、開発が大幅に遅延し、自社開発へ方針変更を図ることとなったうえ、商用生産を前提としたCMOへの製造技術の移転が遅れ、Ph2開始が遅延している。このような開発の遅れを反映し、メドレックスは、資金面で新株予約権発行が発生する状況が続いてきたうえ、開発品の「選択と集中」を強いられてきた。
曙光も見え始めてきた
新しい進展も浮上してきている。メマンチン貼付剤(MRX-7MLL)に関して、FDAの指示による製剤改良が完了し、9月にPh1a試験(単回PK試験)が開始される予定である。その後、Ph2やPh3を経ることなく、BE(生物学的同等性)試験、皮膚での安全性試験と長期の安定性試験を実施すれば、新薬申請に到達できる。チザニジン・テープ剤(MRX-4TZT)も製造技術の移転が完了し、年末前後にはPh2開始に漕ぎ着けそうである。さらに、中枢神経治療薬として期待されるAlto-101経皮剤のPh1が成功し、マイルストーン収入が発生した。6月からは統合失調症による認知障害を対象としたPh2が始まり、2025年後半にはそのトップラインデータが浮上してくる。
停滞ムード転換の契機
メドレックスの競争力の源泉は創薬力である。表面に出ているパイプライン以外に、地道に新規パイプライン創出に向けた製剤開発を継続しているからこそ、2023年9月にAlto社との提携契約に結実できた。一歩一歩着実に開発を進展させることで評価が向上する。当面は、リドカイン・テープ剤Lydolyteに関し、FDAから指摘された残り僅かな課題を完全に解決・再申請し、上市品第一号を成し遂げること、そして、次の大型開発品であるチザニジン・テープ剤(MRX-4TZT)のPh2を開始することが重要なポイントである。「七転び八起き」ではないが、粘り強く開発を継続する一方、なるべく早期に上市品につなげる開発が、今、メドレックスに求められている。
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