株式会社キャンバス(4575 Growth)
ESMOでの発表:新たな地平を開く可能性

2023/10/25

ベーシックレポート改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

臨床的に意義のある改善と忍容可能な安全性を確認
2023年10月23日(現地時間)、CBP501のPhase2ステージ1に関する詳細なデータが欧州臨床腫瘍学会(ESMO)総会のポスター発表にて公表された。主要評価項目(3カ月無増悪例)に関する速報は、既に2022年11月に公表されている。 CBP501・シスプラチン・ニボルマブ3剤併用投与群は、2群とも4例の主要評価達成例が4例出現し、「早期有効中止」という結果であった。2剤投与群は、一方が「早期無効中止」、他方がどちらでもないという結論であった。今般のESMOのポスター発表データで、各群の投与内容や副次的評価項目(安全性やm-PFS、 m-OSなど)が明らかとなった。これによると、安全性で新たな問題は発生していないこと、3剤併用群のうちCBP501の投与量の多い群のみで、奏効例が出現しており、奏効期間は120日を超えて継続的な奏効を示している。また、すい臓がん3次治療にもかかわらず、m-OSは6カ月を超えている。単純な群間比較はできないが、副次的評価項目でも、他の群よりも優っている。今回の臨床試験の統括責任医師は、「この中間結果は、CBP501・シスプラチン・ニボルマブ3剤併用投与について、転移性すい臓腺がん3次治療として臨床的に意義のある改善と忍容可能な安全性を示している。」と結論づけている。また、今回のESMOのすい臓がんに関する注目抄録紹介のセッションで4つの革新的戦略を探求している臨床試験が紹介されたが、そのうちの一つがこの試験である。ここで、ミュンヘン大学病院Westphalen医師から、「この3剤のような化学免疫併用療法は進行すい臓がん治療の新たな地平を開く可能性がある。」とコメントされている。

Phase3の概要:年内にも浮上
現在、キャンバスでは、Phase3の試験デザインを巡ってFDAと相談を重ねている段階と推察される。既にPhase3の治験薬の準備は完了しており、CROとの契約も提携済みである。Phase3のデザインについては、その確定時期を見通せるわけではないが、フェアリサーチでは、年内遅くとも来年初頭には固まるものと推察している。Phase3のProtocolが確定した段階で、治験施設との契約が始まる。順調にいけば、2024年半ばに、最初の患者組み入れ(FPI)が始まり、2025年末~2026年前半には、Phase3を終えることが出来ると推察される。会社側の標ぼうする2027年の上市目標は依然として不変である。

Phase3の群数と規模に着目
Phase3のデザインについて、現時点で会社側では、群数は明示せず、被験者数300名程度の規模観を示し、資金調達を遂行中である。フェアリサーチでは、ESMOでの公表データなどを参考にすると、メインシナリオとして、2群(Ph2で奏効例のあった三剤併用群(Arm1)、医師選択治療群)を想定しているが、仮に3群(Ph2で奏効例のあった三剤併用群(Arm1)、3例の3カ月PFSが出現した2剤併用群(Arm4)、医師選択治療群)となったとしても、各群100例で統計的にハザード比から優劣を示すことが可能で、300例という規模は大きく変化しないと考えている。今後、注目されるイベントは、①CBP501の後継品の前臨床入り決定、②CBP501のPhase3のデザイン決定と想定されるが、これらのイベントが株価に好影響を及ぼせば、現在進行中の資金調達にも好影響をもたらし、Phase3実行の資金が十分にカバーできることも期待したい。

>>続きはこちら(1MB)

TIW/ANALYST NET
ANALYSTNET企業レポート   TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。

このページのトップへ