株式会社リボミック(4591 Mothers)
開発競争の中で注目されているRBM-007

2021/06/18

フォローアップ・ レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

RBM-007の開発は予定通り進行中
リボミックは、従来、他の製薬会社の要請に応じて新薬の種を提供する創薬探索をビジネスの柱としてきた。しかし、現在では、一定の段階で導出を行うことで、さらに企業価値を高めようという段階にステップアップした会社である。リボミックの主力開発品である抗FGF2アプタマー:RBM-007は、滲出型加齢黄斑変性症を対象としたPhase2試験を米国で実施中である。途中、新型コロナ感染症の影響を受けたにもかかわらず、予定通り2021年内に完了できる見込みである。軟骨無形成症を対象としたPhase1試験も、2021年5月に最後の被験者の投与が完了しており、予定通り2021年内にPhase1が完了する予定である。

滲出型加齢黄斑変性症の新薬開発競争の中で注目されている
滲出型加齢黄斑変性症の薬剤は抗VEGF抗体が主流であるが、既存薬には2つの問題点があり、新薬開発競争が盛んである。RBM-007は、その開発競争の中で注目されているプロジェクトの一つになっている。
滲出型加齢黄斑変性症の薬剤は、投与方法が一般的に眼球注射であるため、その頻度を低減させる薬剤の開発が盛んである。また、既存薬の標的が、VEGF-AやVEGF-Bに限定されているため、奏効しない患者の存在がある。そこで他の標的を阻害する新薬の開発も行われている。このような中で、RBM-007は、FGF2を阻害することで、VEGF-AのみならずVEGF-Cも抑制することが期待できる。また、他の開発品にはない瘢痕形成抑制効果もあると考えられている。現在行われているPhase2が成功し、POCが確立されれば、まずは滲出型加齢黄斑変性症2nd-Lineでの治療戦略に大きな変化をもたらすものと考えられる。

ライセンスアウトの時期
2020年1月に発行した第15回新株予約権の行使は、同年8月までに完了し、リボミックは、約50億円の調達に成功した。このため、手元流動性は高水準(2021年3月末58億円)であり、向こう2年程度の開発資金を有している。しかし、肺高血圧症(PAH)を対象としたRBM-011、急性心不全を対象としたRBM-003、変形性関節症を対象としたRBM-010の開発も、現在、前臨床段階にあり、2023年以降、続々と臨床入りを計画している。このように次々と臨床試験入りする開発候補品を抱えているため、RBM-007が滲出型加齢黄斑変性症を適応症としたPOCを確立した後の2022年には、大型ライセンスアウトが待ち望まれる。軟骨無形性症を対象とするRBM-007も、先行する新規薬剤が市場を開拓している時期(2023年以降)にPOC確立を迎え、追い風が吹く中、大型ライセンスを期待したい。

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