シンバイオ製薬株式会社(4582 JASDAQ)
第二の創業期 好循環開始

2021/06/01

ベーシックレポート 改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

製薬ベンチャーからグローバルなスペシャリティ・ファーマへ
シンバイオは、自社で創薬研究を行うのではなく、世界中の創薬企業とのネットワークと目利き力を活かして有望な新薬を導入し開発してきた。開発のターゲットは、医療ニーズが高いにも拘わらず、大手があまり参入して来ない希少疾患(血液がんを中心とする希少疾患)に絞るニッチ戦略で、高シェア・高収益を狙える。また、導入する薬剤は、原則として既に有効性・安全性が確立されたものであるため、開発リスクは低く抑制されている。第一号品はトレアキシン®で、導入後5年で承認・上市され、2018年には標準療法の一つに採用された。シンバイオでは、2020年に自販体制への切り替えを完了し、血液分野に特化したスペシャリティ・ファーマに変身した。さらに2019年9月、ブリンシドフォビルを導入し、独占的なグローバルライセンス(開発製造販売)を取得したことで、アジアを手始めに欧米まで含むグローバル・ライセンサーへ変身する土台ができた。

第二の創業期始まる
2021年3月、主力品であるトレアキシン®のr/rDLBCLへの適応拡大が承認され、対象市場の規模はおよそ2倍に拡大された。また、2021年初頭から液剤(RTD製剤)の販売が開始され、2021年5月にはRI(急速静注)投与の申請を完了した。剤型変更による特許期間の延長と利益率の大幅な改善も実現したこととなる。これらにより、2021年のシンバイオの黒字化は確固たるものとなった。今後、シンバイオは、アカデミアとも連携し、トレアキシン®やリゴセルチブの新規機序に着目した新しい療法の開発に着手する予定である。またブリンシドフォビルに関して、造血幹細胞移植後のウイルス感染症を対象とした分野で、グローバルな開発を推進していく予定である。既に2021年2月、造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象としたPh2試験のIND申請を米国FDAに提出済みである。この試験のうち、小児対象の部分がFastTrack指定を獲得している。また、国内でも、造血幹細胞移植後のウイルス性出血性膀胱炎を対象とした開発を計画している。このように、シンバイオは、トレアキシン®からの利益を源泉として、一定程度の利益率(営業利益率15-20%)を維持しながら、パイプラインの事業価値を最大化するためのグローバルな開発を推進できる第二の創業期に入った。

当面は利益成長モメンタム継続、その後は開発進捗が評価される
トレアキシン®の売上がピークに達するまでは、その限界利益率の高さを反映して、力強い利益成長モメンタムを内在するものと考えられる。間もなくブリシンドフォビルの開発が本格化し、多少モメンタムが減速してくる可能性はあるが、2026年-2027年ごろまでは利益成長が継続する公算が高い。その後、トレアキシン®の売上がピークに到達すると、利益成長は踊り場を迎えることとなる。しかし、この時点までに、ブリシンドフォビルや固形がんを対象としたトレアキシン®の開発が進捗し、将来の事業価値の拡大が視野に入ってくる可能性が浮上する。EPSの拡大が止まっても、PERの拡大が望めるフェーズになろう。

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