株式会社キャンバス(4575 Mothers)
免疫着火剤CBP501:新薬申請に向けた視界が開ける

2021/02/17

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

新薬申請に向けた視界が開けた
2021年2月16日、キャンバスは、会社説明会にて、同社の主力開発品であるCBP501(免疫着火剤)について、今後の臨床開発計画の概要と大まかなスケジュールを公表した。今回発表された臨床開発プランの概要は、①次相は、一気にPivotal試験を行うのではなく、Phase2とし、②Phase2をStage1とStage2に分割し、中間解析を実施する、③FDAと認識を擦り合わせたうえで、必要十分な4つの投与群をデザインというものである。ここで重要なポイントは、第一にFDAと認識を擦り合わせたうえで、やり残しや不必要な試験を排除しており、Phase3へのステップ・アップを判断するのに必要十分なデザインを組んだということ、第二には、PivotalではなくPhase2とし、しかも中間解析を行うことにより、早期に結果を得られ、試験期間を短くできる可能性がある、ということである。中間解析で良好な結果が得られた場合、2022年後半からPhase3を開始でき、2025年新薬申請、2026年上市というベストシナリオを描くこともできる。

Phase2の成功確率は98~78%
Phase2の結果を考える場合、<金メダル><銀メダル><銅メダル><メダル不獲得>の4つのシナリオがある。<金メダル>シナリオは、中間解析の段階で、三剤併用(CBP501、シスプラチン、ニボルマブ)が勝ち抜けして、Phase3にステップ・アップするケースである。そして、その確率は63~30%と試算している。<銀メダルシナリオ>は、中間解析ではなく、Phase2がStage2まで必要となったうえで、二剤併用群が脱落して最小単位の2群でのPhase3へステップ・アップするケースであるが、その確率は30~40%としている。また、Phase2がStage2まで必要となったうえで、二剤併用群が脱落せず、再び4群ないし3群のPhase3に進むことが出来るケースが<銅メダル>であり、その確率は5~8%としている。いずれにも該当せず、Phase2で打ち切りとなる確率は2~22%で、裏返すと、メダル獲得の可能性は98%~78%と試算されている。確率の幅のうち、前の値は三剤併用群の真の作用がPhase1bと同じと仮定した場合で、後ろの値は、それよりも約30%作用が弱いと仮定した場合の計算結果である。

免疫着火剤の潜在市場規模:米国のみで900億円
CBP501の臨床試験では、ニボルマブ(Opdivo®)も必要とされることから、患者1名当たりの治験費用は1500万円~2000万円と推測される。すると、前述のPhase2のうちStage1を行うには、9例×4群×1500~2000万円=5.4~7.2億円、Stage2まで完遂することになると追加で14例×4群×1500~2000万円=4.2~5.6億円ほど必要と試算される。一方、足元の現預金(約10億円)と新株予約権行使により今後流入してくる資金(9億円)で、当面の運転資金(2年間で8億円程度)とPhase2のStage2までの費用(最大13億円程度)は、ほぼカバーされる。仮にStage1で良好な結果が得られれば(金メダルシナリオ)、大手製薬会社への導出も成功し、早期に導出先によるPhase3へ移行できて、Phase2の費用は約7億円以下に抑えられ、運転資金も1年分(約4億円)で済む。同時に、導出による契約一時金などの獲得と、株価上昇による転換社債の転換も考えられ、財務状況は好転することが期待できよう。会社側では、免疫着火剤の潜在市場規模は、すい臓がん3次治療のみで900億円以上(米国)と見込んでいる。

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