GCC経営分析レポート:株式会社多摩川ホールディングス(6838 JASDAQ)
テクノロジー⼒とファイナンス⼒を軸に⾼成⻑の通信・エネルギーインフラ領域でSDGs主体の株主価値創造へ

2020/09/03

ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社

電⼦・通信⽤機器事業と再⽣可能エネルギー事業を展開
株式会社多摩川ホールディングス(以下連結⼦会社を含めて、「多摩川HD グループ」)は、1968 年に設⽴された、通信・放送機器のキーパーツである⾼周波デバイスを開発・製造・販売する有限会社多摩川電⼦を起源とする。1999 年に⽇本証券業協会に株式を店頭登録(現在のジャスダック証券取引所)したが、価格競争等で⾚字体質となり、2007 年に持株会社化、投資銀⾏出⾝者が中⼼の経営体制により事業再⽣を進めた。多⾓化のために2010 年3 ⽉期には再⽣可能エネルギー事業に進出した。電⼦・通信⽤機器事業では、従来の⾼周波デバイスのみならず、アナログ・⾼周波技術とデジタル・ソフトウェア技術を融合させた公共インフラシステムを供給できる技術⼒を⾝に付けた。再⽣可能エネルギー事業では、ファイナンス⼒を活⽤し、国内で太陽光発電・⾵⼒発電等、インドネシアで⼩型⽔⼒発電等を展開している。

分野によって5年で10倍・20倍の成⻑が期待
こうした取り組みが開花した2020年3⽉には、前年同期⽐で売上⾼は64.9%増の6,332百万円、営業利益は426%増の過去最⾼の805百万円となった。コロナウィルスの影響の中でも、2021年3⽉期会社計画は、前年同期⽐で売上⾼9.5%増、営業利益5.5%増と堅調である。中期的には①2017~27年に4倍の拡⼤が期待される北海道の⾵⼒発電、②2019~25年にグローバルに17倍の拡⼤の予測がなされている5G設備投資関連投資、③経済産業省の調査によれば2020~25年の間に20倍以上の拡⼤が期待されるインドネシアの⽔⼒発電設備投資等が注⽬される。多摩川HDグループが国⽴⼤学法⼈東北⼤学等と共同開発している「余剰電⼒の最適化機器制御・モニタリングシステム」や「⼩型原⼦時計」等の最先端技術への取り組みも注⽬される。

GCC経営TMの視点で⾒た株主価値︓ 2~3倍アップサイドの可能性
こうした中で多摩川 HD グループは最⼤性25億円程度の資⾦調達が想定される第三者割当増資を8⽉28⽇にプレスリリースした。ジェイ・フェニックス・リサーチ(以下「JPR」)では、今回の調達により、⾼成⻑分野への投資が加速するとみている。これらを前提に、超過利潤法により、多摩川HDグループの⻑期的な株主価値の推計を⾏った。結果として、保守的なシナリオで169億円、現実可能性の⾼いポテンシャルを勘案したケースで336億円、さらに最先端テクノロジーが事業化した場合には、436億円と推計された。現時価総額と⽐較すると理論的に2〜3倍アップサイドが実現する可能性が2〜3年という投資期間で存在する。

*1:ジェイ・フェニックス・リサーチの登録商標。企業価値の概念をわかりやすい言葉で体系化。本文「 GCC 経営®の分析フレームワークとは?」参照。* SaaS は、Software as a Service:パソコンにインストールすることなく、ブラウザ上で使用できるさまざまなアプリケーション。ASP は、Application Service
Provider アプリケーションの機能をインターネットを介して顧客に提供すること。*2,4:スカラ社、SB 社WEB より引用。*5:本文P6 注参照。

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