株式会社メドレックス(4586 Mothers)
米国市場での上市品に大きく前進

2020/08/28

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

FDAに対しリドカイン・テープ剤の新薬申請
2020年8月27日、メドレックスは、米国での初めての上市品実現に向けて、リドカイン・テープ剤の申請を行った。米国では、オピオイド危機の裏返しとして、非オピオイド剤に対し、熱い視線が注がれている。リドカイン・テープ剤は、その一つで、先行するZTlido®は急速に売り上げを伸ばしており、ZTlido®を販売しているサイレックス社の親会社ソレント社には245%のプレミアムでの買収提案もあった(2019年12月拒絶)。メドレックスのリドカイン・テープ剤は、順調に進展すれば、2021年承認、2022年上市が見込まれる。市場の1 割を占有できれば、年間90億円程度の商品に育つと見込まれ、メドレックスにとって、一定規模の安定収入をもたらす初めての米国上市品となろう。

大型開発品の着実な進展
2020年7月、遂にフェンタニル・テープ剤の臨床開発が米国で開始された。オキシコドン・テープ剤の開発が中止された現在では、フェンタニル・テープ剤は、メドレックスにとって、最大の価値をもたらす可能性のあるパイプラインである。他のフェンタニル・テープ剤に対する差別化と高付加価値化のためには、「誤用事故防止機能」の製品ラベルの獲得が重要である。既に、前回の資金調達(2019年11月~2020年4月)で、医療用医薬品としての承認を取得するための標準的な/最低限の開発費用は確保されているが、「誤用事故防止機能」を製品ラベルとして表示するための試験を行うことを決断した。また、「貼るワクチン」であるマイクロニードルの開発は、紆余曲折を経て、治験工場の稼働(臨床試験等においてヒトに投与できるGMP規格品を製造できる体制)まで到達した。そして、今般、国内メーカー数社とのフィージビリティスタディに関する協議などを踏まえ、事業提携へのステージアップを企図して、治験工場を、増殖性ウイルスや遺伝子組み換え生物等を扱える施設に増強することを決断した。

厳格なファンダメンタルズ分析に基づく投資家が資金を拠出
コロナウイルス蔓延の影響で、メマンチン貼付剤やチザニジン・テープ剤の開発が若干遅延しているが、全体として、前項で既述したように、大型品の開発は着実に進展し、むしろ、資金調達が必要な状況である。2020年7月、前項で言及した大型開発品の推進に加え、前回の調達でカバーしきれなかった欧州でのリドカイン・テープ剤に開発費用を賄うために、新たな資金調達計画が発表された。調達を引き受けるのは米国Weiss社である。この調達計画の浮上は、 厳格なファンダメンタルズ分析に基づく価値の追究を投資スタイルとする純投資家の眼鏡にかなったということの裏返しであるとも言えよう。

>>続きはこちら(1MB)

TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。