株式会社メドレックス(4586 Mothers)
米国市場での上市品に大きく前進
フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
FDAに対しリドカイン・テープ剤の新薬申請
2020年8月27日、メドレックスは、米国での初めての上市品実現に向けて、リドカイン・テープ剤の申請を行った。米国では、オピオイド危機の裏返しとして、非オピオイド剤に対し、熱い視線が注がれている。リドカイン・テープ剤は、その一つで、先行するZTlido®は急速に売り上げを伸ばしており、ZTlido®を販売しているサイレックス社の親会社ソレント社には245%のプレミアムでの買収提案もあった(2019年12月拒絶)。メドレックスのリドカイン・テープ剤は、順調に進展すれば、2021年承認、2022年上市が見込まれる。市場の1 割を占有できれば、年間90億円程度の商品に育つと見込まれ、メドレックスにとって、一定規模の安定収入をもたらす初めての米国上市品となろう。
大型開発品の着実な進展
2020年7月、遂にフェンタニル・テープ剤の臨床開発が米国で開始された。オキシコドン・テープ剤の開発が中止された現在では、フェンタニル・テープ剤は、メドレックスにとって、最大の価値をもたらす可能性のあるパイプラインである。他のフェンタニル・テープ剤に対する差別化と高付加価値化のためには、「誤用事故防止機能」の製品ラベルの獲得が重要である。既に、前回の資金調達(2019年11月~2020年4月)で、医療用医薬品としての承認を取得するための標準的な/最低限の開発費用は確保されているが、「誤用事故防止機能」を製品ラベルとして表示するための試験を行うことを決断した。また、「貼るワクチン」であるマイクロニードルの開発は、紆余曲折を経て、治験工場の稼働(臨床試験等においてヒトに投与できるGMP規格品を製造できる体制)まで到達した。そして、今般、国内メーカー数社とのフィージビリティスタディに関する協議などを踏まえ、事業提携へのステージアップを企図して、治験工場を、増殖性ウイルスや遺伝子組み換え生物等を扱える施設に増強することを決断した。
厳格なファンダメンタルズ分析に基づく投資家が資金を拠出
コロナウイルス蔓延の影響で、メマンチン貼付剤やチザニジン・テープ剤の開発が若干遅延しているが、全体として、前項で既述したように、大型品の開発は着実に進展し、むしろ、資金調達が必要な状況である。2020年7月、前項で言及した大型開発品の推進に加え、前回の調達でカバーしきれなかった欧州でのリドカイン・テープ剤に開発費用を賄うために、新たな資金調達計画が発表された。調達を引き受けるのは米国Weiss社である。この調達計画の浮上は、 厳格なファンダメンタルズ分析に基づく価値の追究を投資スタイルとする純投資家の眼鏡にかなったということの裏返しであるとも言えよう。
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