株式会社リボミック(4591 Mothers)
小児用希少疾患薬の臨床試験開始へ
フォローアップ・ レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
Discovery(探索)から Clinical(臨床ステージ)への脱皮
リボミックは、従来、他の製薬会社の要請に応じて新薬の種を提供する創薬探索をビジネスの柱としてきた。大塚製薬、藤本製薬、大正製薬、アステラス製薬等との共同研究開発契約が結ばれ、共同研究開発から実際のライセンス契約に切り替わるものも出現した。
しかし、現在では、一定の段階で導出を行うことで、さらに企業価値を高めようという段階にステップアップしたところである。リボミックの主力開発品である抗FGF2アプタマー: RBM-007に関して、滲出型加齢黄斑変性症を対象とし て、Phase1終了後の2019年12月に韓国AJU薬品会社に導出済み( 対象地域:韓国・東南アジア)であり、米国でのPhase2試験も順調に進展中である。また7月には、軟骨無形成症を対象としたPhase1試験が国内で始まる予定である。このほか、心不全を対象としたRBM-003や変形性関節症を対象としたRBM-010も、2022年の臨床試験(Phase1)入りを目指している。
加えて、抗IL-21アプタマーを用いた肺動脈性高血圧に対する新薬の開発研究を、AMEDに助成を受けて国立循環器病研究センターと共同で推進してきたが、2020年4月に、その継続研究が AMED の治験準備研究として採択された。
RBM-007:軟骨無形成症(ACH)は小児希少疾患で高薬価も期待できる
軟骨無形成症(ACH)は小児対象の希少疾患であり、現在根本的な治療薬はない。疾患の原因はFGFR3の恒常的な活性化であるが、RBM-007は、FGFR3の主要なリガンドであるFGF2を抑制する機能があり、根本的な治療薬となる可能性がある。同様の他剤と比較して、投与頻度が少なく、競争力があると考えられる。ACHに関する新規薬剤の対象患者数は全世界で2万4千人程度と見込まれる。また、最近、2億円を超える薬価で話題になったゾルゲンスマのように、小児希少疾患薬では高薬価が設定される場合がある。仮に、同じ骨領域で承認された小児用希少疾患薬クリースビータ(対象:先天性低リン血症)と同程度の薬価が設定されれば、潜在市場規模は2000億円程度と考えられる。
浮上する新薬候補
2020年5月には、新型コロナウイルスの感染を阻害するアプタマーの開発も浮上してきた。また、最近ユビキチンを用いて対象タンパク質を分解する薬剤の開発が流行しているが、この分野にアプタマーを用いることで低分子では補足できない対象を補足できるようにする二重特異性アプタマーの開発など、新規の薬剤候補が創出されてきている。
先行するRBM-007のPhase2の成功により、欧米を対象とした大型提携が実現し、その提携から得た資金で、創出される画期的な新薬候補の開発が進展する好循環が浮上する時期の到来を期待したい。
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