株式会社キャンバス(4575 Mothers)
CBP501導出・提携への支援材料浮上

2019/04/04

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

CBP501用量漸増相での奏効率判明
2019年4月2日(現地時間)、米国がん研究会議(AACR)年次会議で、キャンバス社の最も重要な開発品であるCBP501(カルモジュリン・モジュレーター)の第Ⅰ相臨床試験後期(Phase1b)用量漸増相での奏効率が発表された。近年がん治療の中心に、免疫チェックポイント阻害剤(例:オプジーボ)が浮上してきたが、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率が低いがん種も多い。CBP501は、免疫チェックポイント阻害剤等との併用により高い奏効をもたらす薬剤として開発中の薬剤の一つで、他の多くの併用試験が討ち死にしていると言われる中、その奏効率が注目されてきた

他の類似臨床試験と比較して良好な奏効率
CBP501の用量漸増相での部分奏効率は、全体として17.6%であり、大腸がんで20%、すい臓がんで25%という結果であった。試験対象患者が複数の標準治療既治療のがん患者であることを前提とすると、他の類似した臨床試験と比較して、高い奏効率であると評価できよう。化学療法剤等と免疫チェックポイント阻害剤との併用試験の多くで、既治療対象の場合の部分奏効率は1割以下の場合が多い。また、大手製薬会社と提携して開発が行われ、有望とされている類似の開発品(BL-8040)でも、すい臓がんでの部分奏効率が3.8%に過ぎない現実を考えると、CBP501も有望な開発品として評価される可能性は十分にある。

拡大相の途中経過次第で提携が浮上する可能性も
2018年10月に拡大相の対象となるがん種は戦略的に絞られた。より少数の症例で、免疫チェックポイント阻害剤との併用効果が証明できて、しかも競合が少ない、「すい臓がん」と「大腸・直腸がん(MSI-highではない)」(各10例程度合計20例)に絞られた。2019年1月に最初の患者組み入れが始まり、年内には組み入れの大部分が完了、拡大相の終了は2020年半ば頃と見られる。ただし、拡大相の規模ががん種毎に10例程度であるため、途中で1例でも奏効例が出てくれば、今般の用量漸増相の好結果にも鑑み、次のステップに進む展望が開けてくる。最初の1例目の結果が判明するのは2019年4月末以降であるが、導出・提携に向けた動きが浮上してくることを期待したい

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