米国の中間選挙について

2018/11/07
  1. 上院は共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪還しました。ほぼ事前の予想通りです。
  2. 権限で優位な上院を制したことで、トランプ大統領が政権運営で受けるダメージは限定的とみられます。
  3. 市場への影響も限定的で、市場の目は景気、金融政策等に戻ります。見通しは特に変わりません

事前の予想通り

6日に実施された米国の中間選挙は、上院が共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪還しました。事前予想の大勢にほぼ沿った開票結果であり、特段、市場に大きな動きは見られていません。

米国連邦議会選挙は2年に一度実施されます(11月の第1月曜の翌日)。下院は435議席すべてが改選され、上院は100議席のうち約3分の1が改選されます(今回は35議席が対象)。今回の選挙は、4年に一度実施される大統領選挙の中間で実施される議会選挙なので、「中間選挙」といわれます。

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トランプ大統領の政権運営はどう変わる?市場への影響は?

上・下院がねじれると、今後のトランプ大統領の政権運営はどのように変わるのでしょうか?結論から言うと、上院で過半数を維持したため、政権運営で受けるダメージはそれほど大きくないと言えます。上院は条約の批准、大統領指名人事の承認について権限を持っており、予算についても下院に発議権があるのみで他は同等、立法も下院と平等です。

ただし、ねじれによって、予算案や各種法案の可決に時間が掛かることは否めません。したがって、トランプ大統領は、下院の意向に譲歩することもありますが、政策目標を達成させるために、以前にも増して大統領令を頻繁に発布する可能性があります。大統領令は議会の承認を必要としない行政命令です。トランプ大統領はこれまでにも、移民(メキシコ国境に壁を建てる)、貿易(TPP離脱)、軍事(ISIS壊滅計画)など、多くの分野で大統領令を発布してきました。

政権運営が受けるダメージが限定的であることから、市場への影響も限定的と見込まれます。重要な政治イベントを通過し、今後は改めて景気動向や金融政策等に市場の目が向かうと見られます。なお、景気や金融政策、市場に対する見方について、特に変化はありません。

※TPP:環太平洋パートナーシップ(後に日本主導で「TPP11」として成立)
※ISIS:イスラム過激派組織「イラクとシリアのイスラム国」

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