主力株は上がらなくとも下がらなければ良い?
今週の国内株市場は、日経平均が19,500円の節目が意識されつつも、その水準を下回る弱含みの展開が目立っています。先週からの下落基調はいったん落ち着いている格好ですが、今のところは戻りを試す展開にはなっていません。
朝鮮半島の情勢は依然として緊張が続いているものの、米朝両首脳の姿勢がややトーンダウンし、目先の軍事衝突の切迫感が後退したことを背景に、相場の下落が小休止した印象ですが、いわゆる「ジャクソンホール(カンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム)」での米欧の金融当局トップの講演を週末に控えた様子見ムードもあって、方向感が出にくくなっています。
そこまでは想定内のシナリオなのですが、米トランプ大統領の政権運営に対する不安も相場の重石となっています。今週、米アリゾナ州の都市フェニックスで行われた演説では、「(メキシコ国境との壁について)政府機関を閉鎖したとしても建設する」と発言しました。演説したご当地向けのリップサービスの意図もあったのかもしれませんが、9月末に期限を迎える米連邦債務の上限引き上げ問題に対して不安視される材料となりました。
日経平均の戻りが鈍い一方で、堅調な値動きを見せているのが東証2部指数や日経JASDAQ平均などです。両指数のチャートを眺めてみますと、相場が崩れておらず上昇基調を保っているように見えます。マザーズ指数についても、先週(8月14日)の安値を境に下値が切り上がっていて、復調しつつあるような動きです。これらの指数は日経平均やTOPIXなどの主力株に対して、中小型株が中心の株価指数です。
東証2部指数については、時価総額の大きい東芝やシャープの2銘柄の影響が大きく、微妙なところですが、値動きの推移だけを見ると中古型株が優位の相場地合いになっていると言えます。大型株はグローバルに事業を展開している企業が多く、それだけ海外要因の影響を受けやすくなります。とりわけ足元の相場で先行きの不透明感をもたらしているのは海外の材料ですので、余計に中小型株が選好されやすくなっていると言えそうです。
その傾向は以前からも表れていましたが、主力株が「崩れはしないが、上値が重たくて儲けにくい」相場地合いが続き、収益機会を求めて新興株への物色が強まった動きと言えます。日経平均は5月から8月あたまにかけて節目の2万円台を挟んだもみ合いとなっていましたが、この期間の中小型の株価指数は主力株指数を上回る動きとなっていました。
そのため、とりあえず相場が落ち着けば、主力株があまり反発しなくても、新興株の方が買われる展開が期待されますが、直近の下落の記憶がまだ新しいこともあり、心理的に慎重にならざるを得ないかもしれません。また、現在の中小型優位の前提は「主力株が崩れないこと」ですので、主力株市場がひとたび崩れ出すと、新興株市場はそれ以上に荒れてしまいがちになるため、注意が必要です。
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