警戒強まる地政学的リスク

2017/04/07

4月入りとなった今週の国内株市場ですが、終値ベースで1万9,000円台割れの展開が目立っています。週初の日銀短観にはじまり、週末の米雇用統計など今週は注目イベントが多いのですが、特に注目度が高まっているのは米中首脳会談(4月6日〜7日)です。

 

その背景には、3日(月)にロシアの地下鉄で爆発事件が起きたほか、5日(水)には北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本海の排他的経済水域外に落下するなど、地政学的リスクへの警戒があります。

 

とりわけ、北朝鮮の今回の行動は米中首脳会談前のタイミングを意識して行われたという見方が多く、北朝鮮自身がこの会談を気にしていることの表れといえます。

 

実際に、トランプ米大統領は会談前の2日(日)に、「北朝鮮問題に中国が対処しなければ、我々が単独で行動する」と発言しており、対話協調を繰り返し述べるだけの中国に対して具体的な行動を迫った格好ですが、米国は北朝鮮に対して強硬な姿勢を示し始めています。

 

北朝鮮のミサイル技術は着実に進展しているように思われるほか、マレーシアの空港で起きた北朝鮮籍の男性殺害事件も、毒ガスを持ち込んでの無差別テロにもつながることが想定できるため、侮れない脅威になり得ます。こうしたことが米国の姿勢が強硬になっていることの要因になっているようです(トランプ政権が国内政治問題で停滞しつつある中、外交面での人気取りという指摘もあります)。

 

さらに、今回の米中首脳会談の開催自体が先月下旬に急遽決まったことをはじめ、4月15日(土)の故金日成主席の誕生日、5月9日(火)に予定されている韓国大統領選挙などのスケジュール感などが、「近いうちに軍事的な行動が起こるのでは」という思惑につながっているようです。

 

もちろん、会談では通商問題(人民元安や貿易赤字、商業参入障壁など)についても話し合いが行われます。トランプ大統領は、3月31日(金)に貿易赤字の削減を目指す大統領令を発令していますが、通商面での中国に対するトランプ政権のスタンスはまだ不明確です。会談を通じて交渉のポイントを確認することも重要になってきます。

 

いずれにしても米中関係は今後の相場にも大きな影響を与えることになりそうです。

 

 

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