史上最高となった家計の「正味資産」(米国)

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米国の家計が保有する資産、負債の状況は、米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期ごとに公表する財務勘定統計で捉えることができます。財務勘定とは、金融機関、法人、家計といった各部門の金融資産・負債の推移などを、預金や貸出といった金融商品ごとに記録したものです。日本では、日銀が資金循環勘定統計として公表しています。米国では、3月9日に16年10-12月期の統計が公表されました。

【ポイント1】家計の「正味資産」は過去最高を更新

株価や住宅価格の値上りで総資産が拡大

■総資産から総負債を差し引いた家計の「正味資産」は、16年10-12月期末に92兆8,054億ドルとなり、5四半期連続の過去最高更新となりました。株価や住宅価格の上昇等により総資産が107兆9,095億ドル、前期比+2.1%となる一方、総負債は15兆1,041億ドル、同+1.0%の伸びにとどまったためです。

【ポイント2】高水準維持の貯蓄率

資産効果は見られない

■「正味資産」を、可処分所得(個人所得から、支払い義務のある税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入)に対する比率で見ると、6.50倍となりました。これも過去最高です。

■かつての米国では、株価や住宅価格が値上がりし、家計の「正味資産」が増えると、消費が拡大し、貯蓄率は低下するという関係が存在しました。いわゆる資産効果です。ところが、2007年に住宅バブルが崩壊して以降、この関係は見られなくなりました。直近2016年10-12月期について見ると、家計「正味資産」の対可処分所得比は先ほど述べた通り6.50倍でした。これに対応する貯蓄率は4.6%と推計されますが、現実の貯蓄率は5.6%でした。

 

 

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【今後の展開】家計は身の丈に合った消費行動、景気拡大は長期化しよう

■身の丈に合った消費を行う米国の家計

このことは、米国の家計が、身の丈に合った消費行動を行っていることを示すものです。つまり金融資産等の含み益が増えたからといって、貯蓄率を落としてまで消費を増やすようなことはしていないということです。

■息の長い景気拡大となる可能性は高い

裏返せば、過剰消費、過剰債務が発生する公算は小さいといえます。個人消費が米国の景気を大きく上振れさせることはなさそうですが、その分、拡大の期間が長期化する可能性は高いと考えられます。

 

 

(2017年 3月 15日)

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