「ギリシャ問題」、瀬戸際での交渉へ(欧州)
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欧州連合(EU)とギリシャは、既存のプログラムに基づく支援を協議していますが、期限である6月末が迫りました。EUが求める年金減額と最低賃金の引き上げ凍結をギリシャは依然として拒み続けています。6月18日にユーロ圏財務相会合、6月25日~26日にはEU首脳会合が予定され、期限を前にした瀬戸際での双方の歩み寄りが期待されます。 |
【ポイント1】ギリシャとEUになお深い溝
ギリシャは年金削減を拒否
■ギリシャのチプラス首相は、10日から11日にかけて、EUのユンケル欧州委員長やドイツのメルケル首相らと会談し、合意に向けた調整を行いましたが、合意には至りませんでした。
■年金削減などの受け入れは、国民の反発が強く、ギリシャは譲れない一線との立場を崩しませんでした。一方のEU側も、年金削減などを含む緊縮策の受け入れが支援の前提との立場を変えず、双方の間に深い溝があることが改めて浮き彫りになりました。
【ポイント2】デフォルトで一層苦境に
EUの支援無いとデフォルト不可避
■ギリシャは6月に返済期限が来る合計約15億ユーロのIMFへの債務返済を、月末の一括返済に繰り延べました。一定の猶予を得たものの、EUの支援が無いと、ギリシャが債務不履行(デフォルト)となる状況に変わりはありません。
■仮にギリシャがデフォルトとなると、景気後退にある経済はさらに危機的状況に至ると思われます。ギリシャの銀行はユーロが調達できず、国民の預金が封鎖されるなど、最終的には国民の苦境はさらに深まると見込まれます。
【今後の展開】デフォルト回避に向けた瀬戸際での双方の歩み寄りを期待
■二兎を追うギリシャ国民
最近の世論調査では、チプラス政権が引き続き高い支持を得ている一方で、ユーロ圏残留を多くの国民が望んでいるとの結果も出ています。チプラス政権は、年金維持とユーロ圏残留を同時に満たす可能性は無いことを国民に的確に伝え、そのうえで判断を仰ぐ必要があると見られます。
■EU首脳会合での双方の歩み寄りを期待
仮にギリシャがEUと合意すると、ドイツは議会で合意を承認する必要があります。ユーロ圏で最大の負担が見込まれるドイツでは、議員や国民が安易な妥協に否定的です。今月25日~26日にEU首脳会合が予定され、デフォルト回避に向けた瀬戸際での双方の歩み寄りが期待されます。
(2015年6月15日)
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