中東情勢緊迫化で高まるインフレの再燃リスク

2026/03/06

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◆中東情勢の緊張で原油価格は急騰、為替は円安ドル高

2月28日、米国とイスラエルがイランに軍事攻撃を実施しました。このことは世界に強い衝撃を与え、金融市場や国際商品市況でも、今後の世界経済の不確実性や原油の供給不安の高まりなどを背景に、大きな変動が見られています。原油価格(WTI)は、2月27日の1バレル=67.0ドルから、週明けの3月2日には71.2ドル、5日の終値では81ドルまで上昇しました。また為替市場では、基軸通貨である米ドルが幅広い通貨に対して買われる展開が続いています。米ドル/円は、原油価格高騰による日本の貿易赤字拡大の懸念もあって、2月27日の1米ドル=156.0円から3月5日には157.6円まで円安ドル高が進みました【図1】。

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成

◆日本経済への影響、まずはガソリン代と電気・ガス料金

こうした状況下での日本経済への直接的、短期的な影響として、まずは国内のエネルギー価格の上昇が考えられます【図2】。特にガソリンは、多くの場合、大手石油元売り会社が週次で定める卸価格が円建ての原油価格に基づいて設定されるため、原油と為替レートの影響が短期間のうちに小売り価格に反映されます。そのため、足元の原油価格上昇と円安は、まずはガソリン価格の上昇という形で日常生活に影響します。

次に影響が見込まれるのは電気・ガス料金です。電気・ガス料金は、「燃料費調整制度」のもとで、原油、LNG、石炭の円建ての仕入れ価格が、各月の3~5カ月後に反映されます。このため、3月中の原油価格の上昇分は、6月以降の電気料金を押し上げることになります。さらに、原油はエネルギー以外にも様々なモノの生産に利用されるため、原油価格の上昇が長引けば、価格転嫁を通じて幅広いモノの価格を押し上げます。今後の個人消費の下押し要因となることも懸念されます。

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成

◆国内生産への影響も

現状、世界の原油供給量の約20%が通過するとされるホルムズ海峡が事実上封鎖された状態が続いています。これにより、日本経済への影響は、原油価格高騰をもたらした2022年のロシアのウクライナ侵攻時などと比べても、一段と深刻さを増していく可能性があります。日本の中東産原油への依存度は90%以上と非常に高いため、こうした状況が長期化すると、原油の調達が大幅に減少する結果、影響は短期的な物価上昇に止まらず、石油化学製品やそれを原料とする幅広い製品の国内生産にも及びかねません。2025年12月末時点で、国内には254日分の石油備蓄がありますが、今後、こうした備蓄の放出も視野に入ってくるでしょう。

中東情勢の緊張を受けて、国内のインフレ再燃や生産への影響に懸念が及んでいます。

事態の早期沈静化を祈りつつ、市場では政府・日銀の政策運営にも注目が集まります。

(シニアエコノミスト 藤本 啓)

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