THECOO(4255) 各利益当初の予想を上回る見通し
![]() 平良 真人 CEO |
THECOO株式会社(4255) |
![]() |
企業情報
市場 |
東証グロース市場 |
業種 |
情報・通信業 |
代表者 |
平良 真人 |
所在地 |
東京都渋谷区神宮前2-34-17 住友不動産原宿ビル |
決算月 |
12月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,222円 |
2,099,605株 |
2,565百万円 |
– |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
0.0円 |
– |
28.74円 |
42.5倍 |
170.26円 |
7.2倍 |
*株価は9/26終値。25年12月期中間期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
業績推移(非連結)
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2021年12月 |
3,482 |
-100 |
-119 |
-109 |
– |
0.0 |
2022年12月 |
4,279 |
-212 |
-210 |
-488 |
– |
0.0 |
2023年12月 |
3,806 |
-544 |
-553 |
-764 |
– |
0.0 |
2024年12月 |
4,331 |
-68 |
-63 |
-69 |
– |
0.0 |
2025年12月(予) |
4,760 |
75 |
75 |
60 |
28.74 |
0.0 |
*予想は会社予想。単位:百万円、円。
THECOO株式会社の2025年12月期中間期決算概要などをご紹介致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年12月期中間期決算概要
3.2025年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- WEB、Android、iOSで提供するファンビジネスプラットフォーム「Fanicon」を運営する「ファンビジネスプラットフォーム事業」、及びYouTuberやインスタグラマー等を活用したマーケティング支援を行う「インフルエンサーセールス事業」と運用型広告のコンサルティングを行う「デジタル広告事業」などを提供する「デジタルマーケティング事業」を展開している。2014年設立、21年12月に東証マザーズ市場へ新規上場。22年4月に市場区分の見直しに伴い東証グロース市場へ移行。
- 25/12期中間期の売上高は前年同期比10.5%増の21億99百万円。ファンビジネスプラットフォーム事業が20.8%増収と牽引、デジタルマーケティングは17.7%減収だが全体として2桁増収を確保した。営業利益は24百万円、前年同期1億49百万円の損失から大幅に改善した。売上総利益率が向上して売上総利益は前年同期比20.6%増、販管費は微減に抑えた。売上拡大に向けて販売促進費を増加させた一方、その他の販管費を抑制したことにより損益が大きく改善した。セグメント別には、ファンビジネスプラットフォーム事業は黒字に転じ、デジタルマーケティング事業でも損失が縮小した。
- 25/12期は、売上高が前期比9.9%増の47億60百万円、営業利益75百万円(前期は68百万円の損失)を予想。各段階利益を上方修正、営業利益は期初予想2百万円からの大幅な上方修正。ファンビジネスプラットフォーム事業において、サブスク外の売上に対して付加価値向上に伴いプライシングの最適化を進めたことで各利益が当初の予想を上回る見通しとなった。売上高に修正はないが、期初の段階でファンビジネスプラットフォーム事業では、新規アイコンの獲得に伴うファン数の増加により月額利用料金が増加する見通し。
- 同社では、23/12期に従業員の不正行為があり、成長が鈍化し利益も低迷していた。こうした中、23/12期下期をボトムに24/12期以降は四半期毎に売上が伸び、利益が改善傾向にあった。24/12期3Qには黒字転換し、25/12期には例年静かに始まる1・2Qもしっかりと黒字を確保して通期予想の上方修正に繋げた。デジタルマーケティング事業の伸び悩みは引き続き課題ではあるが、売上構成比の大きいファンビジネスプラットフォーム事業の安定成長は当面続きそう。コスト管理は引き続きしっかりとさせているため、黒字の定着化を経て本格的な利益成長の局面に入ったといえそう。株価は上場来低迷、中間期決算発表を経て見直されたものの、21年の公開価格(7,200円)には遠く及ばない。しかし、今後考えられる売上・利益の成長からは評価不足と見る。
1.会社概要
WEB、Android、iOSで提供しているファンビジネスプラットフォーム「Fanicon」を運営する「ファンビジネスプラットフォーム事業」、及びYouTuberやインスタグラマー等を活用したマーケティング支援を行う「インフルエンサーセールス事業」と運用型広告のコンサルティングを行う「デジタル広告事業」などを提供する「デジタルマーケティング事業」を展開している。
「Fanicon」は17年12月の提供開始以降、インフルエンサーだけでなく、アーティストや著名人が幅広く利用し、ファンコミュニティだけでなく、EC、チケットなどを統合して扱えるファンビジネスプラットフォーム事業へと拡大してきた。
社名「THECOO」の由来は、般若心経の中の文句「色即是空(しきそくぜくう)」。
この世の万物は形をもつが、その形は仮のもので、本質は空(くう)であり、不変のものではないという意味である。
人の人生は、儚く脆くあっという間に過ぎ去る。ならば、『人生を思いっきり楽しみましょう』。
平良社長のこのような思いが込められている。
【1-1 沿革】
平良代表取締役CEOが一橋大学卒業後に伊藤忠商事、SONY、Googleなどを経てデジタル広告事業を行う企業として2014年に設立。15年にインフルエンサーセールス事業を開始し17年にはファンビジネスプラットフォーム事業を立ち上げた。21年12月に東証マザーズ市場へ新規上場。22年4月に市場区分の見直しに伴い東証グロース市場へ移行。
年 月 |
概要 |
14年 1月 |
東京都品川区大崎にデジタル広告事業を行うルビー・マーケティング株式会社設立 |
3月 |
東京都港区南麻布二丁目に本社を移転 |
9月 |
東京都港区芝二丁目に本社を移転 |
15年 1月 |
インフルエンサーセールス事業を開始 |
1月 |
YouTubeクリエイターと広告主企業のマッチングサービス「iCON CAST」の提供開始 |
16年 2月 |
THECOO株式会社に社名変更 |
2月 |
マーケティングとインフルエンサーについて考えるオウンドメディア「RIPPLY」の運用開始 |
7月 |
東京都目黒区目黒二丁目に本社を移転 |
12月 |
美容ファッション・ライフスタイルに焦点をあてたインフルエンサーマネジメント事業を行うため、
子会社HUITMORE株式会社(所有持分51%)を設立 |
17年 3月 |
インフルエンサーマネジメント事業として社内にゲーム実況者に特化した事務所「Studio Coup」を立ち上げ |
12月 |
ファンビジネスプラットフォーム事業を開始
ファンコミュニティプラットフォームであるアプリ「Fanicon」をリリース |
18年 3月 |
東京都渋谷区神宮前三丁目に本社を移転 |
19年 3月 |
HUITMORE株式会社の全株式を取得 |
5月 |
HUITMORE株式会社を吸収合併 |
20年 3月 |
チケット制ライブ配信サービス「Fanistream」の提供開始 |
21年 4月 |
チケット制ライブ配信サービス「Fanistream」をリニューアルし、「CaSsette」の提供開始 |
4月 |
新宿御苑にスタジオ「BLACKBOX³」をオープン |
5月 |
NTTドコモとライブ配信事業に関する業務提携契約を締結 |
12月 |
東証マザーズに新規上場 |
22年 4月 |
東証市場区分見直しに伴いマザーズ市場からグロース市場に移行 |
8月 |
東京都渋谷区神宮前二丁目に本社を移転 |
23年 6月 |
Faniconプラットフォームにおけるオンデマンド製造サービスを新たにリリース |
【1-2 経営方針】
ビジョン
“できっこない”に挑み続ける
個人が失敗を恐れず、自由に表現し、活躍できる社会に。
挑戦はイノベーションを生み出しますが、残念ながら、全ての挑戦がすぐに報われるわけではありません。
努力が実らないことも、続ける意義を見失ってしまうこともあります。 挑戦に失敗はつきもの。「失敗しても諦めず、成功するまで続ければ、いつかは必ず成功する」 とTHECOOは信じています。 私たちは全てのユーザー、クライアント、そして社員のさまざまな領域における挑戦を、全力でサポートします。 |
インフルエンサーやデジタル広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない”に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指す。
【1-3 事業内容】
BtoCであるファンビジネスプラットフォーム事業およびBtoBであるデジタルマーケティング事業の2セグメント。ファンビジネスプラットフォーム事業は成長事業、デジタルマーケティング事業はコア事業と位置付けている。相互にデータ・顧客基盤・ノウハウ等を共有している。
ファンビジネスプラットフォーム事業 デジタルマーケティング事業

(同社資料より)
アイコン・・・コミュニティのオーナー且つ運営主体
ファン・・・月額料金を支払い、コミュニティに加入するユーザー
レポーティング・・・広告運用についての定期報告、内容は出稿金額、獲得コスト、広告運用方法等
ファンから受け取る収益は、月額利用料金とポイント購入、ECでの物販などで構成される。
「Fanicon」=「Fan」+「Icon」
(1)ファンビジネスプラットフォーム事業
ファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」の提供及び運営管理を行う。
「Fanicon」はアーティスト、インフルエンサー、タレント等(ファンコミュニティのオーナーであり、ファンの熱量の対象となるもの、以下「アイコン」という)とそのファンが集い、アイコンとしての「価値」を提供したいアイコン側のニーズと、アイコンや共通の目的を持ったファンと「つながりたい」というファン側のニーズをマッチングさせるプラットフォーム。従来のアイコン側(事務所を含む)からの一方通行のコミュニケーションがメインのファンクラブと異なる。ファンコミュニティのオーナーであるアイコンと、そのファンコミュニティに属するファンが一緒になってコミュニティを盛り上げ、ファンコミュニティを通じて共感したファン同士も繋がり、アイコンとファン、ファンとファンが双方向でコミュニケーションを可能にしたアイコンとファンのためのサービス。
「Fanicon」はセルフサインアップ型のサービス。アイコンやアイコンの所属事務所がコミュニティの運営やコンテンツの提供などを独自に行う。同社はカスタマーサクセスチームを設置し、アイコンにファンの熱量を維持するために有効な機能の使用方法や、ファンに喜んでもらえるコミュニティ作りをコンサルティングサポートしている。現在、国内においてはインフルエンサーやタレントだけでなく、アーティストや俳優、スポーツ選手といった幅広いジャンルのファンコミュニティが存在しており、韓国でもいくつかのアイコンがコミュニティを開設している。
Faniconの会員(ファン)はすべて有料会員となっている。同事業の売上高は、会員より受領するサブスクリプションフィーを売上高として計上するストック型のビジネスモデル。また、昨今はポイント課金型の売上高も伸びており、安定的、継続的な収入が見込まれている。会員数を安定的に成長させるためには、新規アイコンの獲得が不可欠。新規アイコンを獲得するための営 業活動は専属チームが継続的に実施している。一部大型アイコンの獲得に関しては、パートナー企業等の協力を得ており、コミュニティ開設数は堅調に成長を続けている。また、アイコンの解約率は、アイコンに対する季節や個人イベントに応じた施策の提案やファン体験の価値を高めるカスタマーサクセスの実施により低水準で推移している。
オープンで無料であることが「一般的なサービス」である中、あえて会員制を選択しているのは、完全有料制・完全会員制にすることが、ロイヤリティを高め、持続可能な活動につながるため。ファンを維持したうえで安定した収益基盤の確保できる。また、安心して交流ができ、ファンの熱意も高まる。
アイドル、アーティスト、俳優、ミュージシャン、タレント、YouTuber、スポーツチーム、Kpopアイ ドルなど、幅広いカテゴリーのアイコンが開設している。
同社の推測では、ファンビジネスプラットフォーム事業のSAM(ファンコミュニティ市場規模)は1.6兆円、TAM(エンタメやコンテンツを含めた市場規模)は12.6兆円。今後も事業の拡大が期待できる広大なマーケットポテンシャルがある。
アイコンの一例

(同社資料より)
(2)デジタルマーケティング事業
インフルエンサーを用いたマーケティング施策の実施支援及びデジタルマーケティングに関する支援を行う。
インフルエンサーを用いたマーケティング施策とは、顧客企業の製品やサービスをインフルエンサーが制作する動画等を通じてプロモーションする手法。インフルエンサーの持つ属性によってフォロワーにターゲティングしやすく、クライアント企業の商品のブランディングや認知度向上、購買意欲の向上を効率的に行うことが期待できる。インフルエンサーを常時3,000名以上ネットワーキングし、柔軟な提案が可能となっている。
デジタルマーケティングは、ウェブ上で行われる広告活動やマーケティング。自社のブランド、製品・サービス等に関するメッセージを潜在的な顧客に広めることを目的としている。
同事業では顧客企業や広告代理店からプロモーションの依頼を受けて、最適なインフルエンサーの提案・選定及び施策内容の企画立案を行い、インフルエンサーが作成する制作物の進捗や内容確認を実施して、インフルエンサー自身のSNSへの投稿を支援している。特に同社が強みとしているのがデータを活用した提案。特定のメディア・プラットフォームに依存せず、あらゆる分野をカバーする膨大なインフルエンサーネットワークを用いることで顧客の課題に寄り添った最適なソリューションを提供している。
同事業の収益は、主にクライアント企業並びに広告代理店より、契約に基づき収受する手数料等。
同社によると、デジタルマーケティング事業のSAM(日本のソーシャル広告市場規模)は0.9兆円、TAM(日本のインターネット広告媒体費)は2.9兆円。いずれも2桁成長しており、今後も拡大余地がある巨大なマーケットポテンシャルがある。
2.2025年12月期中間期決算概要
【2-1 業績概要(非連結)】
24/12期 中間期 |
構成比 |
25/12期 中間期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
1,991 |
100.0% |
2,199 |
100.0% |
+10.5% |
売上総利益 |
816 |
41.0% |
985 |
44.8% |
+20.6% |
販管費 |
966 |
48.5% |
961 |
43.7% |
-0.5% |
営業利益 |
-149 |
– |
24 |
1.1% |
– |
経常利益 |
-151 |
– |
31 |
1.4% |
– |
中間純利益 |
-150 |
– |
25 |
1.2% |
– |
*単位:百万円。
増収、損失が大幅に縮小
売上高は前年同期比10.5%増の21億99百万円。ファンビジネスプラットフォーム事業が20.8%増収と牽引、デジタルマーケティングは17.7%減収にとどまったが全体として2桁増収を確保した。営業利益は24百万円、前年同期1億49百万円の損失から大幅に改善した。売上総利益率が前年同期41.0%から44.8%へ向上して売上総利益は前年同期比20.6%増。販管費はコントロールして微減に抑えた。売上拡大に向けて販売促進費を増加させた一方、その他の販管費を抑制したことにより損益が大きく改善した。セグメント別には、ファンビジネスプラットフォーム事業は黒字に転じ、デジタルマーケティング事業でも損失が縮小した。
【2-2 セグメント別売上高・
営業利益】
24/12期 中間期 |
構成比 |
25/12期 中間期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 | |||||
ファンビジネスプラットフォーム事業 |
1,457 |
73.2% |
1,760 |
80.0% |
+20.8% |
デジタルマーケティング事業 |
534 |
26.8% |
439 |
20.0% |
-17.7% |
合計 |
1,991 |
100.0% |
2,199 |
100.0% |
+10.5% |
セグメント利益 |
|
|
|
|
|
ファンビジネスプラットフォーム事業 |
-64 |
– |
95 |
5.4% |
– |
デジタルマーケティング事業 |
-84 |
– |
-71 |
– |
– |
合計 |
-149 |
– |
24 |
1.1% |
– |
*単位:百万円、セグメント利益の構成比は売上高利益率。
*ファンビジネスプラットフォーム事業
売上高は前年同期比20.8%増の17億60百万円、営業利益は95百万円(前年同期は64百万円の損失)。
会員数を安定的に成長させるためには、新規アイコンの獲得が不可欠。新規アイコンを獲得するための営業活動は専属チームが継続的に実施しているが、一部大型アイコンの獲得に関しては、パートナー企業等の協力を得ている。その結果、コミュニティ開設数は堅調に成長を続けている。また、アイコンの解約率は、アイコンに対する季節や個人イベントに応じた施策の提案やファン体験の価値を高めるカスタマーサクセスの実施により、前期に引き続き低水準で推移している。
アイコン数は約3.4千で前年同期13.3%増、ファン数は同13.1%増の約36.2万人。2Qの流通総額は前年同期比26.0%増の15.2億円と順調に拡大。ARPUについては同2.4%増の836円、これまでは下降傾向にあったがサブスク外売上の増加によって微増となった。
*デジタルマーケティング事業
売上高は前年同期比17.7%減の4億39百万円、営業損失は71百万円(前年同期は84百万円の損失)。
従業員の育成に力を入れ、サービスの品質向上を図ることで、既存顧客からの継続発注を確保している。同時に、マーケティングとインサイドセールスの活動を積極的に展開することで、国内外を問わず新規顧客の獲得も進めている。大口顧客の広告予算削減により減収となった。2Qの取扱件数は前年同期比10.9%減の131件、案件単価は同15.3%減の1.5百万円。事業部全体で採算性の改善に取り組んだ結果、営業損失は縮小した。
【2-3 第2四半期の動向】
四半期毎の推移は以下の通り。
営業損失が続いていたが、23/12期4Qをボトムに改善傾向にある。25/12期は1Q、2Qとも黒字を確保し黒字体質が定着化しつつある。例年、売上・利益とも偏重する4Qに向けていい形になりつつある。

*ファンビジネスプラットフォーム事業
4Qの売上高は12月度ポイント売上の増加により前年同期比21.0%増の9億39百万円。販管費を抑制し、営業利益は前年同期1億10百万円の損失から1億3百万円の利益に黒字転換。

【アイコン数、ファン数の推移】
アイコン数が前年同期比13.3%増の約3.4千、ファン数は同13.1%増の36.2万人。新規アイコンの獲得がファン数の伸びを牽引している。

(同社資料より) *個別アプリ:「Fanicon」同等の機能を持つ別のアプリをOEM提供しているもの。
【流通総額、ARPUの推移】
流通総額は前年同期比26.0%増の15.2億円と順調に拡大。ARPUは同2.4%増の836円。全ファン数に占める個別アプリのファン数増加により下降傾向にあったが、サブスク外売上の増加によって微増に転じている。

(同社資料より)
*Faniconは総売上を計上。個別アプリは手数料のみを売上として計上
*個別アプリ:「Fanicon」同等の機能を持つ別のアプリをOEM提供しているもの
【トピック 2QのFanicon開設事例】

(同社資料より)
*デジタルマーケティング事業
2Qの売上高は前年同期比21.4%減の2億14百万円。営業損失は32百万円、前年同期から11百万円の改善。大口顧客の広告予算削減の影響で減収となったが、採算性強化に取り組んだことで営業損失は縮小した。

【取扱件数、案件単価の推移】
取扱件数は前年同期比10.9%減の131件、案件単価は同15.3%減の1.5百万円となった。

(同社資料より)
【2-5 財政状態】
◎財政状態
24年12月 |
25年6月 |
増減 |
24年12月 |
25年6月 |
増減 |
||
流動資産 |
2,236 |
2,144 |
-91 |
流動負債 |
2,235 |
2,114 |
-121 |
現預金 |
1,601 |
1,541 |
-59 |
仕入債務 |
858 |
759 |
-98 |
売上債権 |
570 |
509 |
-61 |
前受金 |
1,051 |
1,119 |
+67 |
固定資産 |
434 |
443 |
+8 |
固定負債 |
80 |
81 |
+0 |
有形固定資産 |
154 |
140 |
-14 |
負債合計 |
2,316 |
2,195 |
-121 |
無形固定資産 |
108 |
131 |
+22 |
純資産 |
354 |
392 |
+37 |
投資その他の資産 |
171 |
171 |
+0 |
利益剰余金合計 |
-1,353 |
25 |
+1,379 |
資産合計 |
2,670 |
2,587 |
-83 |
負債・純資産合計 |
2,670 |
2,587 |
-83 |
*単位:百万円。
売上債権の減少などで流動資産が前期末比91百万円減少。資産合計は同83百万円減少の25億87百万円。
負債合計は仕入債務の減少などで同1億21百万円減少の21億95百万円。
純利益の増加により純資産は同37百万円増加の3億92百万円。
自己資本比率は前期末13.3%から15.2%となった。
3.2025年12月期業績予想
【3-1 業績予想】
24/12期 |
構成比 |
25/12期(予) |
構成比 |
前期比 |
前回予想 |
|
売上高 |
4,331 |
100.0% |
4,760 |
100.0% |
+9.9% |
4,760 |
営業利益 |
-68 |
– |
75 |
1.6% |
– |
2 |
経常利益 |
-63 |
– |
75 |
1.6% |
– |
2 |
当期純利益 |
-69 |
– |
60 |
1.3% |
– |
0 |
*単位:百万円。
25/12期は9.9%増収予想、各段階利益は上方修正
25/12期は、売上高が前期比9.9%増の47億60百万円、営業利益75百万円(前期は68百万円の損失)を予想。
各段階利益を上表の通り上方修正した。期初には費用面でファンビジネスプラットフォーム事業においてファン数増加やトラフィック急増時に備えたインフラ強化のための開発費等の増加や成長に向けて必要な人材獲得のための人件費の増加を見込んでいた。一方で、他の販管費を抑制して全体の費用増加は抑えていく考えだった。ただし、ファンビジネスプラットフォーム事業において、サブスク外の売上に対して付加価値向上に伴いプライシングの最適化を進めたことで各利益が当初の予想を上回る見通しとなった。
売上高に修正はないが、期初の段階でファンビジネスプラットフォーム事業では、新規アイコンの獲得に伴うファン数の増加により月額利用料金が増加する見通し。また、バレンタインなどの季節毎のイベントとアイコンごとに開催するイベントの実施により、ポイント購入の増加も見込む。デジタルマーケティング事業では、内部統制の強化を継続的に進めながら、SNSプラットフォームの多様化に伴い新たに台頭するインフルエンサーとのネットワークを強化・構築させる。消費者のSNSの活用方法の変化に即したマーケティング施策の企画・提案にも注力し、国内外の顧客との新規案件も増加を目指す。
【3-2 25/12期、期初の方針】
両事業とも売上を拡大させるとともに、利益の改善を行う。全体の販売管理費をコントロールして通期黒字化を目指す。
事業 |
方針 |
ファンビジネスプラットフォーム事業 | ・さらなるファン数増加のため、大型アイコン獲得に注力する
・費用構造の見直しを行い、利益改善を推進する |
デジタルマーケティング事業 | ・新たなインフルエンサーを発掘し、ネットワークを構築する
・クライアントに対して更なる付加価値を創出し、利益改善を推進する |
4.今後の注目点
同社では、23/12期に従業員の不正行為があり、成長が鈍化し利益も低迷していた。こうした中、ファンビジネスプラットフォーム事業が牽引して23/12期下期をボトムに24/12期以降は四半期毎に売上が伸び、利益が改善傾向にあった。24/12期3Qには黒字転換し、25/12期には例年静かに始まる1・2Qもしっかりと黒字を確保して通期予想の上方修正に繋げた。デジタルマーケティング事業の伸び悩みは引き続き課題ではあるが、売上構成比の大きいファンビジネスプラットフォーム事業の安定成長は当面続きそう。コスト管理は引き続きしっかりとさせており、売上拡大は利益に直結する。このため、黒字の定着化を経て本格的な利益成長の局面に入ったといえそう。また、同社はキャッシュリッチであり黒字定着化後にはM&Aなども絡めた成長も期待できそうだ。
株価は上場来低迷、中間期決算発表を経て見直されたものの、21年の公開価格(7,200円)には遠く及ばない。しかし、今後考えられる売上・利益の成長からは評価不足と見る。なお、同社株の発行済株式数は209万株と少なく、利益額のわりにEPSが大きく出ることをつけ加えておきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外2名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2025年3月31日)
基本的な考え方
当社は、「”できっこない”に挑み続ける」というビジョンに基づき、挑戦をしつづけることで継続的に成長し企業価値を最大化するためには、株主、顧客、従業員をはじめとする利害関係者から継続的な信頼を得ることが重要であると認識しております。
そのためには、コーポレート・ガバナンスの充実が極めて重要であり、透明性の確保並びに法令遵守の徹底を進め、同時に、経営環境の変化に対応し、効率的な経営を推進するための組織体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由】
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。
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