生まれ変われるなら債券市場になりたい
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◆米相互関税は発動直後に一部停止。背景に米国債市場の混乱
「生まれ変われるなら債券市場になりたい」。1992年の米大統領選でクリントン陣営の勝利に貢献したジェームス・カービル氏が、債券市場が時に政策決定に絶大な影響を与えることを念頭に述べた言葉です。
今、この名言を思い出している市場参加者は多いでしょう。トランプ米大統領は4月9日に発動した相互関税を、わずか13時間後に一部停止しました。異例の「朝令暮改」の背景は米国債市場の混乱でした。内外の主要メディアが舞台裏を報じています。米長期金利の急騰ぶりに危機感を覚えたベッセント財務長官がトランプ氏に進言したようです。大統領自身も「債券市場は難しい」とそうした見方の妥当性を示唆しました。
◆日本では超長期金利が記録的急騰。背景にバラマキ政策への警戒感
日本の国債市場でも珍しい値動きがみられました。超長期国債利回りの急上昇です(右図)。新発40年国債利回りが一時3.220%と2007年の発行開始以来の最高を更新しました。相互関税によるリスク回避的な環境下、10年国債など長期国債の利回りは水準を切り下げていました(左図)。まるで糸の切れた凧のように、超長期金利だけが急騰したのです。金利上昇幅でみると、同期間の米長期金利をも上回っていました。
一般に、残存期間が25年を超す超長期国債は、中長期国債に比べて日銀の買入れが少ないため、景気・物価動向や財政不安などの要因が値動きに反映されやすいと考えられています。日本の政治家の間では、米相互関税の発表後、国民への一律5万円の現金給付などバラマキ的な政策や、裏付けとなる補正予算の編成が取り沙汰されました。これが財政規律を巡る先行き不安を強め、超長期金利の急騰に繋がった模様です。
◆補正予算は見送り。背景に世論調査での不評
ところが16日、複数の主要メディアが補正予算の見送りを報じると、超長期金利は一転して急低下しました。債券市場で過度の財政悪化懸念が後退したためです。政府・与党は、各種世論調査における現金給付策の評判が芳しくなかったため、見送りを決めたとの舞台裏を、各種メディアは報じています。
日本での補正予算見送りは債券市場が主因ではなかったようです。ただ、日銀の国債購入が減るなか、日本でも財政政策の判断上、金利動向は今後一段と重要になるでしょう。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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