来週の金融市場見通し(2025年4月21日~2025年4月25日)
■来週の見通し
赤沢経済再生担当相は17日、米政権の関税措置見直しを目指し、トランプ大統領やベッセント財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表らと会談しました。2回目の閣僚協議を今月中に日程調整(22日予定)することで一致し、為替についての話は出なかった模様です。他方、米株安・ドル安・債券安の米国売りの様相を一時呈したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)、米財務省が金融市場の混乱に備える姿勢を示しました。引き続き関税交渉の進展に加え、日米の企業決算なども確認したいところです。
◆株価 :落ち着いた動きか
今週の日本株は、持ち直す動きになりました。先週までの下げを受けて、割安感が強まっていたことから、海外投資家などの資金流入があったとみられます。17日に行われた日米関税協議で、今後の交渉継続で合意したことなども株価を支えました。半導体関連株は、トランプ政権による半導体の対中輸出規制の強化が減益要因になると発表した、米エヌビディアの株価下落が重しとなり、下落する場面がありました。
来週の日本株は、目立った重要イベントがないなか、落ち着いた動きとなる可能性が高そうです。新しい悪材料がなければ、引き続き割安感に着目した買いが株価を押し上げる展開も想定されます。ただし、トランプ大統領による関税政策に関する発言が相場を動かす場面も想定されるため、引き続き警戒が必要です。
◆長期金利 :関税交渉にらみ
今週はトランプ米政権が相互関税からスマートフォンなどを除外すると明らかにしたことから、関税への過度な警戒感が後退し、長期金利は一時1.365%まで上昇しました。2025年度補正予算案を見送る方針と伝わり、国債増発への懸念が後退したことから1.3%を割り込みました。関税交渉の進展への期待などから1.3%台に戻ったものの、週末は再び1.3%を割り込む動きになりました。
22日予定の日米財務相会合で関税交渉が進展すると投資家心理が上向き、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。ただ、植田日銀総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示していることに加え、FRBが米長期金利の大幅上昇を抑制する姿勢を示していることから、米金利とともに国内の金利上昇も限定的となりそうです。関税交渉難航なら、国内金利が低下することも想定されます。
◆Jリート :徐々に上値を探る
今週の J リート市場は、小幅に下落しました。週前半は戻り売りに押され下落しましたが、その後は、米関税措置のさらなる事態の悪化を想定させる報道もみられず、市場が一旦落ち着いたことで、週末にかけて反発しました。今週末の分配金利回りは 5.050%(東証上場 REIT の予想分配金利回り、QUICK 算出)でした。
来週は、日米長期金利の動向や米関税政策の影響をにらみながら、徐々に上値を探る展開となることを想定しています。米政権の関税政策により、市場ではリスク回避圧力が再び高まる懸念はあるものの、足元、米中政府がさらなる貿易戦争の激化を望まない姿勢を示していることや長期金利の動きが落ち着いていることは安心材料です。引き続き5%超の予想分配金利回りに着目した一定の買いが下支え要因になると見込まれます。
◆為替:ドル下値模索継続
今週のドル円は、じりじりと下値を模索する展開となりました。トランプ大統領の関税政策などに関する言動に振らされ、米国への信頼が大きく揺らいだことなどから、ドル円は一時141円台まで下落しました。ただ、17日に行われた日米関税協議において、為替に関する議題は出なかったとの赤沢経済再生担当相の発言を受け、一定の安心感からドル円はやや戻しました。
米中貿易戦争が混迷の度合いを深める中、世界的な景気減速が懸念されることに加え、日米財務相会合の開催が見込まれることから、市場では警戒感が高まっています。そのような環境下、来週もリスク回避の動きが優勢になるとみられ、安全通貨とされる円に資金が流入しやすい地合いは続きそうで、ドル円はじりじりと下値を模索する可能性が高そうです。
◆米国株 :落ち着いた動きか
今週の米国株は、軟調な動きとなりました。NYダウは、指数を構成する割合が高いユナイテッドヘルス・グループの株価急落が重しとなり、下落しました。トランプ大統領の関税政策に関する警戒感も株価を圧迫したとみられます。一方、好決算が好感された大手金融機関の株価上昇は指数の押し上げ要因となりました。半導体関連株は、トランプ政権による半導体の対中輸出規制の強化が減益要因になると発表した米エヌビディアの株価下落が重しとなり、売りが優勢となりました。
来週の米国株は、目立った重要イベントがないなか、落ち着いた動きとなる可能性が高そうです。ただし、トランプ大統領による関税政策に関する発言が相場を動かす場面も想定されるため、引き続き警戒が必要です。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(4月) 4月25日(金)発表
3月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.4%上昇と前月(同2.2%上昇)から伸びが拡大しました。コメを中心とする食料品の価格高騰が続いたほか、外食などを中心にサービス価格も上昇しました。
4月の東京都区部・コアCPIは大きく上振れる見込みです。2024年度から開始された東京都の高等教育無償化による物価下押し効果が一巡するほか、食料品価格の高騰も引き続き物価を押し上げるとみられます。また、サービス価格について、期初の値上げが広がるかにも注目が集まります。
ユーロ圏製造業PMI(4月、速報値) 4月23日(水)発表
3月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は48.6と、好不調の境目となる50を下回る状況が続いていますが、2023年1月以来の高水準となり、持ち直しの兆しがみられています。財政規律の緩和により、防衛費・インフラ投資の拡大が期待されるドイツの景況感が改善しました。
4月の製造業PMIは再び低下すると見込まれます。トランプ米政権下で次々と打ち出される関税政策やそれを受けた世界経済の減速懸念から、製造業の景況感は悪化するとみられます。
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