当面の国内政局運営と市場の焦点

2024/11/11

当面の国内政局運営と市場の焦点

    • 第2次石破内閣は本日発足へ、ただ少数与党で経済対策や予算の編成に野党の協力が必要。
    • 国民民主党は減税などを要求、与党はこれらを踏まえ、安定した政権運営の成否が当面の焦点。
    • 経済対策、予算、税制改革に減税反映なら市場に景気浮揚期待、参院選前の政局に要注意。

第2次石破内閣は本日発足へ、ただ少数与党で経済対策や予算の編成に野党の協力が必要

先月の衆議院選挙を受けた特別国会が11月11日に召集されます。会期は14日までの4日間ですが、11日に衆参両院の本会議において首相指名選挙が行われ、石破茂首相が第103代首相に選出される見通しです。石破首相は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、組閣を終えたあと皇居での首相親任式と閣僚の認証式を経て、11日中に第2次石破内閣を発足させる見込みです。

石破首相は新内閣発足後、まず「経済対策」の取りまとめと、その財源を裏付ける「2024年度補正予算」の編成を急ぐと思われます。報道によると、経済対策には、低所得者向けの給付金支給や電気・ガス料金の負担軽減策などが盛り込まれる模様ですが(図表1)、新内閣は衆議院の議席数が過半数に満たない少数与党であるため、2024年度補正予算の成立には野党の協力が必要です。

国民民主党は減税などを要求、与党はこれらを踏まえ、安定した政権運営の成否が当面の焦点

石破茂首相は国民民主党の玉木雄一郎代表と11月11日に党首会談を行い、補正予算案などで協力を要請する見通しです。国民民主党はすでに、年収「103万円の壁」引き上げやガソリン減税などを含む、経済対策と補正予算案の要望書を与党に渡しており(図表1)、玉木代表は引き上げがゼロ回答なら「2025年度予算」に「なかなか賛成するということにならない」と発言しています。

与党は11月中に経済対策を閣議決定し、年内にも2024年度補正予算を成立させる意向とみられ、まずは経済対策で国民民主党が求める税制関連の要求の大まかな方針を示し、年末に行われる2025年度税制改正で詳細を詰める流れが予想されます。年内の主な政治日程は図表2の通りですが、石破首相が国民民主党など野党の主張を取り込みながら、いかに安定した政権運営ができるかが、当面の焦点となります。

経済対策、予算、税制改革に減税反映なら市場に景気浮揚期待、参院選前の政局に要注意

株式市場にとって、少数与党は懸念材料ですが、野党と上手く協力し合いながら政権を運営できれば、それほど不安は大きくならないと思われます。また、年内の経済対策や2024年度補正予算、2025年度予算案・税制改革大綱の内容に、減税を主張する国民民主党の意向が反映される形になれば、その度合い次第では、景気浮揚期待が高まり、株高、長期金利上昇の動きも見込まれます。

日銀の金融政策に関する判断は、やはり独立性の尊重が望ましく、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移していけば、過度な緩和環境は修正に向かうと考えます。なお、2025年3月中に2025年度予算・税制改正関連法が成立した場合、次の政治イベントとして参議院選挙が控えます。仮に自民党内で参議院選挙に向け、総裁交代の緊張感が高まった場合、ポスト石破の顔ぶれの思惑に、市場が敏感な反応を示すことも予想されます。

 

 

 

(2024年11月11日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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