「危うい」強気相場の正念場
「月またぎ」で10月相場入りとなった今週の株式市場ですが、これまでのところ、国内外でまちまちの展開となっています。
自民党総裁選を経て石破新政権が誕生した国内株市場は、日経平均が先週末にかけて上昇した分を剥落させて大幅下落のスタートとなり、その後は多少持ち直すも、今後の衆院解散総選挙への思惑もあって、38,000円台が意識されながら方向感が出にくい状況となっています。
また、先週に大規模な金融緩和策や不動産・証券支援策を発表した中国株市場は大きく上昇し、週初の9月30日の取引終了時点の香港ハンセン指数終値は21,133pとなり、昨年末比からのパフォーマンスは日米の主要株価指数を上回るところまで来ています。
今回の中国の経済政策の効果に対する見方は、ポジティブとネガティブで分かれていますが、中国当局がようやく重い腰を上げ、「少なくとも、最悪期は脱した」ということで、しばらくは上昇基調が続くかもしれません。ただし、中国株の上昇は、海外マネーがこれまでの中国株から日本株へシフトする動きの巻き戻しを伴う可能性があり、政治的な不透明感の漂う日本株にとっては、今後の上値トライの足枷になるかもしれません。
そして、米国株市場ですが、1日(火)の取引で下落したものの、NYダウやS&P500は最高値圏に位置しています。大幅利下げが決定された米FOMC(連邦公開市場委員会)以降、米景気のソフトランディング見通しと追加利下げ期待を前提に、NYダウは42,000ドル、S&P500は5,700pの節目を突破し、最高値を更新する場面が増え、報道等でも「連日の最高値更新」と字面は良いのですが、実は、節目を突破してからの上げ幅はさほど大きくなく、高揚感はありません。
このように、「下値は切り上げているが方向感の出ない日本株」、「上昇の勢いを増してきた中国株」、「盛り上がりに欠けているが、高値圏を維持している米国株」といった具合に、温度差はあるものの、全体的には強気相場が維持されている格好ですが、10月相場を迎えて、このままの相場基調が続くのかについては「危うさ」を抱えています。
引き続き、米国の景況感については、景気後退懸念がくすぶっていることに加え、奇しくも、10月下旬の国内総選挙と11月5日の米大統領選挙の日米の政治イベントが近い時期に行われることで「政治の季節」を迎えたことや、ここに来て中東情勢がにわかに緊迫化してきたことで原油価格が上昇し始めていること、さらに、米国を襲うハリケーンの被害や、米東海岸やメキシコ湾岸で10月1日に始まった労働者のストライキが長期化することによるインフレ警戒など、相場を取り巻く外部の環境はあまり好ましくない状況になりつつあります。
確かに、「相場は不安の崖を登る」、「遠くの戦争は買い」という相場格言がある一方、10月は「オクトーバーサプライズ」で相場が荒れやすいタイミングでもあり、これまでの強気相場が正念場を迎え、しばらくは値動きの荒い展開も覚悟しておく必要がありそうです。
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