オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Growth)
テロメライシンは申請に向けて全速前進中 OBP-601はC9-ALSの詳細な結果報告が待たれる

2024/09/11

フォローアップ・ レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

申請に向けた課題解決が進展中
オンコリスバイオファーマは、目下の課題であるテロメライシン(食道がんを対象とした放射線併用療法)の先駆け審査指定下での国内承認申請に向けて、全速力で取り組んでいる。既に再生医療等製品製造販売業としての体制づくりやサプライチェーンの構築はほぼ完成に近づいている。残された主な課題は、臨床データの優位性の検証とCMC上の問題解決(バイアル中のウイルス凝集)にあるようだ。臨床データの優位性の検証はリアルワールドのヒストリカルデータとの比較だけではなく、各種論文との比較や専門医の意見で補強されつつある。バイアル中のウイルス凝集を抑制する新製剤の開発も完了しており、毒性試験等を行っている。また、それと並行して製剤化のバリデーション作業と、異なるバッチ間での同質性の検証も進行中である。また、条件付き承認後の検証試験のデザインも申請までには固まる予定である。2024年6月末の現預金水準は11億円台まで低下しているが、新たな資金調達が進行しており、7-8月の2カ月で8億55百万円ほど調達できている。現時点で、年内申請の予定に変更はない。

承認とカギとなるバイオマーカーの低下効果も確認
胃がん・胃食道接合部がんでは、約8割が一次治療で完治せず、二次治療の対象となる。そしてその二次治療の分野は、まだ標準療法が確立されたとは言えない。腫瘍溶解ウイルス薬でがん細胞を溶解し、がん抗原が拡散されると、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率が高まることが期待できる。オンコリスバイオファーマは、2次治療を対象に免疫チェックポイント阻害剤のペムブロリズマブとテロメライシンの併用療法を開発するため、米国メルクとともにコーネル大学で医師主導治験(Phase2)を行っている。既に3例の投与が完了しており、2026年4月の中間解析(13例)までに、多くの奏効例が観察されれば、メルクと相談のうえ、企業治験によるPhase3へステップアップの可能性がある。

トランスポゾン社のコーポレートアクションに引き続き注目
PSP(進行性核上性麻痺)やALS(筋萎縮性側索硬化症)等の神経変性難病を対象とするOBP-601の開発は、Phase2aにおいて、優れた効果を示すことが出来た。これにより、2024年内にもPSP及びALSを対象としたPhase3へのステップアップが浮上する公算が高い。ただし、トランスポゾン社は、現在の資金調達計画などから判断すると、PSPやALSのPhase3や他の神経変性疾患を対象とした開発をすべて独力で推進する可能性は低い。この薬剤に関心を寄せる複数の大手製薬会社が、既にデューデリジェンス活動を開始しているが、彼らの関心の核心はALSにあり、年内に予定されているALS対象のPhase2の詳細結果公表後にデューデリジェンス活動が本格化することが期待される。なおディールの規模としては、神経難病領域で、過去にライセンス取引が成立した例を参考にすると、かなり大きな金額が期待できる。そして、何らかのコーポレートアクション(ライセンスアウト/M&Aなど)がトランスポゾン社に発生した場合、オンコリスバイオファーマにも一定の恩恵が及ぶ。

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