「上昇相場の持続性が試される局面」

2024/04/12

最近の日経平均ですが、株価の上げ下げが繰り返され、慌ただしい値動きが目立っています。

具体的に見て行くと、先週の4月3日(水)に387円安だった翌4日(木)には321円高、続く先週末の5日(金)の取引を781円安で終えて迎えた今週も、8日(月)と9日(火)の2日間の上昇幅の合計が780円となるなど、「下落した分を戻す」ような動きも見られるものの、全体的には、先週1日(月)の566円安と、今週10日(水)の191円安が響き、結果的に株価水準を切り下げる格好になっています。

こうした値動きは、経済指標の結果と、それに対する金融政策の思惑で揺れている米国市場が背景にあります。強い経済指標が示されると、「6月開始とされるFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ決定が後ずれするのではないか?」という思惑が働いて株価が下落し、反対に、落ち着いた経済指標の結果であれば持ち直すといった具合で、米国株市場は積極的に上値を追いにくくなっている印象です。

今週も、注目の米3月CPI(消費者物価指数)が根強いインフレを示す結果だったことで米国株市場が下落し、その流れを受けた11日(木)の日経平均も下落して取引をスタートしています。

もっとも、米国の利下げ期待が後退したとしても、それが米国経済の強さの裏返しである限りは、ある程度の株価調整を見せながらも、これから本格化する企業決算シーズンで良好な業績と見通しが示されれば、再び株価が上昇していく展開は十分に考えられます。とはいえ、これまでのような急上昇を期待するのは難しいかもしれません。

というのも、相場地合いは次第に複雑化しかねない状況になりつつあります。仮に、市場が描くシナリオ通りに米国が6月に利下げを開始すると、経済が強い中の利下げで市場の緩みを生み、経済の過熱やインフレの再燃となるリスクが生じてしまうほか、足元のインフレ懸念の要因のひとつに地政学的情勢への懸念が台頭してきているため、「米景気のデータを確認しながら機敏に金利を調整しよう」とするFRBの目論見が上手く機能しなくなる状況も考えられます。

さらに、前提となっている米国経済のソフトランディング見通しの雲行きが怪しくなった場合には、インフレが高止まりする中で景気が後退する「スタグフレーション」シナリオが浮上する可能性も出てきます。

もちろん、現時点ではそこまでの切迫感はありませんが、「近いうちに相場シナリオを修正しなければならないかもしれない」確率が以前よりも高まっていること、そして、株価の上昇も「相場全体のムード(モメンタム)が引っ張っていくというよりは、銘柄の選別を行いながら進んでいくかもしれない」ことなどを意識し始める必要がありそうです。

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