来週の金融市場見通し(2023年12月25日~2024年1月5日)

■来週の見通し

日銀は金融政策決定会合で、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の現状維持を決めました。金融政策のフォワードガイダンス(先行き指針)の変更もありませんでした。早期に金融政策の正常化に向けて動くのではないかという観測が後退する格好になりました。しばらくは植田日銀総裁の講演や12月の金融政策決定会合の主な意見などを確認しながら、今後の金融政策を占うことになります。内外の経済指標に加え、1月3日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も確認したいところです。。

◆株価 :不安定な動きか

今週の金融政策決定会合で日銀は大規模緩和を維持し、市場に安心感が広がりましたが、27日発表の会合参加者の「主な意見」で今後の金融政策の修正を示唆する内容が明らかになると投資家心理を悪化させそうです。25日の植田総裁の講演にも注意が必要です。また年明けは、3日のFOMC議事要旨や米雇用統計を受けて、来年1%以上の利下げを想定している市場の政策金利見通しが変化し、株価が不安定な動きとなる可能性があり警戒が必要です。

◆長期金利 :居所を探る

日銀金融政策決定会合では大規模緩和が維持されるとともに、総裁の発言でも早期の政策修正について手がかりがつかめませんでした。早ければ1月にマイナス金利解除に動くとの観測が後退し、長期金利は一時0.55%まで低下しました。ただ、その後は低下し過ぎとの見方から、0.6%台に戻る動きになりました。米金利の動きに加え、日銀総裁の講演や12月の日銀会合の主な意見なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替下値模索

ドル円は、じりじりと下値余地を模索する展開が見込まれます。英国のインフレが明確に鈍化するなど、欧米のインフレが鎮静化傾向を示す中、来年前半の世界的な利下げ期待が高まりつつあります。他方、日銀は現状の金融緩和政策の維持を決定し、ドル円は一時145円近くまで上昇しましたが上値は重く、依然、金融政策の早期変更観測はくすぶっています。そのような環境下、ドル円は、多少の調整を伴いながらも下値余地模索の展開が見込まれます。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、長期金利の低下は支援材料ながら、買いが広がらず、やや軟調な動きが続きました。訪日外国人客数がコロナ禍前の水準を上回る水準までに増加してきていることや、オフィスビルの大量供給が一服してきていることは安心材料です。長期金利の上昇が一服する中、資産価格と比べた割安感や相対的に高い分配金利回りに着目した買いに加え、値ごろ感からの買いが広がると、戻りを探る動きになりそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(11月、速報値) 12月28日(木)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は10月に前月比1.3%上昇し、104.9(2020年=100)となりました。業種別では、自動車を除く輸送機械工業が特に増加した一方、石油・石炭製品工業やパルプ・紙・紙加工品工業などが低下しました。

11月の鉱工業生産指数は、前月比でやや減少しそうです。パルプ・紙・紙加工品工業や生産用機械工業の生産などが増加しそうです。今後については、海外景気の下振れ懸念が続いていることから、当面は緩慢な回復傾向になりそうです。

米雇用統計(12月) 1月5日(金) 22時30分発表

11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比19万9,000人増となりました。また、平均時給は前月比0.4%増と前月より伸びが拡大しました。また、失業率は3.7%と前月の3.9%から低下しました。

これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどの影響を受け、米労働市場の過熱感は後退しているものの、当面、底堅い状況が続きそうです。12月の非農業部門雇用者数は前月比16万8,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.8%程度を想定しています。

ISM非製造業景況指数(12月) 1月5日(金) 24時00分発表

米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業景況指数は、前月比0.9ポイント上昇の52.7となり、米国のサービス分野の活動は拡大ペースが加速しました。同指数は50が活動の拡大縮小の境目とされています。

米連邦準備理事会(FRB)によるこれまでの金融引締めや賃金上昇ペースの鈍化を受け、今後の個人消費の動向には不透明感があることから、サービス需要は徐々に軟化する可能性があります。12月の同指数は52.6程度を想定しています。

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