主要国・地域の金融政策:なぜ何よりも重要なのか?

2023/06/19

市場参加者と金融政策

生死に直接かかわる出来事が、世界中で多数発生しています。戦争、内戦、貧困化などです。しかし金融市場では、そういったこと以上に重要なことがあります。中でも、主要国・地域における金融政策です。

各種金利を上下に誘導しようとする金融政策は、実体経済に大きな影響を及ぼします。また、市場参加者が皆、金融政策に注目しているということ自体が、政策変更に関しての思わくによる市場変動を促します。よって、好むと好まざるとにかかわらず、市場参加者は、金融政策を常に点検する必要があります。

FRBは利上げ見送り

最も注目すべき金融政策は、米国の連邦準備理事会(FRB)による政策です。世界経済への影響力では、米国は中国に追い越されつつありますが、金融市場での影響力や存在感では、米国は今も世界一です。

6月13-14日、FRBは政策金利を現状維持とし、昨年3月に開始された利上げが一旦停止しました(図表1)。これは大きな節目となり得ますが、株式市場などの反応は限定的でした。今回の金利据え置きはほぼ市場予想どおりだった上、問題は7月以降の政策であり、この点はまだ極めて不透明であるからです。

ECBは利上げを継続

欧州経済は、近年停滞気味ですが、金融市場では大きな注目を浴び続けています。特に欧州20か国からなるユーロ圏の経済規模は大きく、通貨ユーロは、米ドルに次ぐ存在感を市場において示しています。

この巨大通貨圏の金融政策を担当する欧州中央銀行(ECB)は、6月15日、政策金利の引上げを決定しました。これにより、6月に利上げを見送ったFRBとの違いが目立ちました。その結果、ユーロは米ドルや日本円に対し、顕著に上昇しました。為替の変動要因として、金融政策の違いは非常に重要です。

日本銀行は緩和を維持

「日本衰退論」にもかかわらず、日本は、米国、中国に次ぐ世界第3位の経済規模をまだ有しています。そうしたことから、我が国の中央銀行である日本銀行の金融政策を、市場参加者は注視し続けています。

そして日本銀行は、6月16日、政策の現状維持を決めました。2013年に本格化したアベノミクスの主柱である超金融緩和を、いまだに続けているのです。それ自体は株価の好材料であり、実際に日本株は足元堅調です。ただ、いまだに緩和をやめられないということは、日本経済の低成長(図表2)を表します。

中国はさらなる緩和へ

金融市場における注目度が高まっているのは、中国です。その金融政策は現在、米欧とは異なり、緩和方向です。これはコロナウイルス対策が解除された後、景気回復が伸び悩み、インフレ率も低いためです。

このように金融政策は、各国・地域の経済情勢により異なります。そういった相違が、為替などを変動させます。また、金融政策の動向やそれに関する市場参加者の思わくにより、株式や債券などの相場は日々変動します。したがって市場参加者は、主要国・地域の金融政策はもう飽きた、とは言っていられません。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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