来週の金融市場見通し(2023年3月20日~2023年3月24日)

■来週の見通し

米シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行の経営破綻に続き、欧州でも金融大手クレディ・スイスの信用不安が表面化し、欧米の金融不安への警戒感が強まりました。金融当局の迅速な措置、支援により警戒は一旦後退していますが、不安は依然としてくすぶります。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融システムの安定を優先させて利上げを見送るか、インフレ抑制のために利上げを継続するか注目されます。国内の全国・消費者物価指数(CPI)なども確認したいところです。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米欧の金融不安から日経平均株価は一旦大幅に下落したものの、金融機関の連鎖的な破綻に対する懸念はひとまず和らいでおり、日本株は買戻しの動きが優勢になりそうです。また、米国の長期金利低下も内外の株価を支える見通しです。ただ、米欧金融機関の経営をめぐる不透明感は根強く、日本株の一方的な大幅上昇は想定しにくい状況です。そうした中、FOMCでの政策決定などが注目されます。

◆長期金利 :FOMCにらみ

前週に日銀が政策修正を見送り、債券市場で買戻しが強まったことに加え、米銀の相次ぐ経営破綻を受け、米利上げ加速観測が後退し、長期金利は一時0.24%まで低下しました。来週のFOMCで0.25%の利上げが決定された場合には、米金利とともに国内金利にもやや上昇圧力がかかる可能性があります。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言に加え、FOMC参加者の政策金利見通しが修正されるかも確認したいところです。

◆為替上値重い

ドル円は、上値の重い展開が見込まれます。米金融機関の相次ぐ破綻を受け、金融市場ではリスクを回避する動きが残っています。足元、米国の利上げ観測は後退しており、3月21-22日のFOMCでは利上げが見送られるとの観測も浮上しています。それらを受けて米長期金利が低下しており、ドル円は上値の重い展開が続きそうです。来週は、米金融機関の破綻に関する今後の展開や日本市場への影響を見極めていくこととなりそうです。

◆Jリート :戻りを探る

欧米の金融不安から投資家心理が大きく悪化し、東証REIT指数は約2か月ぶりに1,800ポイントを割り込みました。ただ、米金融当局が2行の預金を全額保護すると決めたことや大手銀が経営難の米銀を支援すると伝わったことから、金融不安は一旦後退しています。日米の長期金利が低下していることから、利回り面での妙味は高まっています。不安定な動きが続く可能性がありますが、値ごろ感からの買いなども市場を下支えしそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(2月) 3月24日(金)午前8時30分発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は1月に前年比4.2%上昇と、インフレが一段と加速しました。生鮮食品を除く食料、電気・ガスのほか、住居の設備修繕・維持、家庭用耐久財など多くの費目の値上がりが物価上昇率を押し上げました。

2月のコアCPI上昇率は、前年比3%程度に伸びが顕著に鈍化する見込みです。補助金による電気・ガス代の抑制策が物価上昇率を押し下げたとみられます。とはいえ、食品などの値上げは相次いでおり、インフレ圧力は依然として強い模様です。そのため、コアCPIの伸びが2%を大幅に上回る状況は当面継続する可能性が高く、家計の実質的な購買力を圧迫し続ける見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(3月)  3月24日(金)午後6時発表

2月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.5と前月の48.8から低下し、8か月連続で活動の拡大縮小の境目となる50を下回りました。他方、総合PMIは52.0と前月の50.3から上昇しました。同指数は今年に入り、2か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏ではロシア・ウクライナ紛争の悪影響が続く中、原材料価格の高止まりなど製造業を取り巻く環境は依然厳しいものの、サービス業を中心に経済活動は改善している模様です。各国政府の景気支援策なども下支え要因となり、今後の両指数は底堅い推移が見込まれます。

 

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