9月の米FOMCで変わる相場の視点

2022/09/23

今週の国内株市場は、「シルバーウィーク」の連休シーズンとも絡んで3営業日のみの取引となりますが、その合間を縫うように、米FOMC(連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合といった、日米の金融政策イベントが開催され、とりわけ米FOMCの動向が最大の焦点となっていました。

20日(火)~21日(水)にかけて開催された米FOMCですが、その結果を受けた米国株市場は大幅下落で反応し、米NYダウは6月17日に付けた30,000ドル台割れの安値(29,653ドル)が視野に入るところまで株価水準を切り下げています。国内株市場でも、22日(木)の日経平均が27,000円台の「節目」割れも意識される株価水準で取引をスタートさせています。

あらためて米FOMCの結果を整理すると、決定された利上げ幅(0.75%)は事前の報道や予想されていた通りで、これ自体は株式市場にあまり大きなインパクトを与えなかったと思われます。ただ、今回のFOMCでは注目したいポイントがふたつ挙げられます。

ひとつめのポイントは、「今後の引き締めペースがどうなるか?」です。米FOMCでは、3カ月ごとの会合で、メンバーによる今後の政策見通し(ドットチャート)が示されます。今回のFOMCはその見通しが公表されるタイミングだったのですが、前回(6月)よりも政策金利の見通しが引き上げられたことが株式市場の重石となりました。

この政策金利の見通しを具体的な数値で見ていくと、2022年末で4.4%、2023年末で4.6%となっており、前回(それぞれ3.4%、3.8%)からかなり引き上げられています。今回決定された0.75%の利上げによって、米国の政策金利は3.00~3.25%となりましたが、年内のFOMCは残り2回の予定ですので、合計でまだ1.25%の利上げが見込まれることになります。

また、もうひとつのポイントは、「市場に燻っていた根強い楽観」です。FOMCを受けて大きく下落した米株市場ですが、FOMC後に行われたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見中に、NYダウが約300ドル上昇する場面も見られました。会見内容が、先日の8月の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)の講演とあまり変わらず、特にサプライズがなかったと受け止められた面があったと思われます。

ただし、記者会見終了後のNYダウは再び下落に転じ、結局この日の安値圏で取引を終えているため、楽観的なムードは長続きしなかった格好です。「インフレが思ったよりも早期に落ち着き、景況感もソフトランディングが可能で、状況次第では金融政策も緩和に転じ得る」といった楽観シナリオは、8月の株価急騰を牽引してきた経緯があります。

とはいえ、ひとつめのポイントでも紹介したように、ドットチャートでの政策金利見通しを見る限り、米FRBの姿勢が景気配慮よりもインフレ抑制に重きを置いていることがうかがえるほか、今年の3月よりかつてないペースで利上げが行われてきていることを踏まえると、景況感のソフトランディングを期待するのはさすがに無理があると思われ、こうした楽観シナリオを押し通すのが難しくなりつつあり、今回の米FOMCがそれを印象付けたと考えることができます。

そのため、金融引き締めによる景況感の悪化などの影響を織り込みつつ、株価の方向感を探る展開がしばらく続くことになりそうです。

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