米国株の下値目途について考える

米国株の下値目途について考える

  • 下落傾向が続く米国株の主要3指数についてフィボナッチ・リトレースメントを使い下値目途を探る。
  • ダウ平均は、年初来安値から直近高値までの上昇幅から76.4%押した30,745ドル近辺が目途。
  • S&P500とナスダックの76.4%押し水準は、それぞれ3,799ポイント近辺、11,182ポイント近辺。

下落傾向が続く米国株の主要3指数についてフィボナッチ・リトレースメントを使い下値目途を探る

ダウ工業株30種平均は6月17日に年初来安値をつけた後、いったん上昇に転じましたが、8月16日に直近高値をつけてからは、下落傾向が続いています。S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数も、ダウ平均とほぼ同じ値動きとなっており、6月16日にそろって年初来安値をつけ、直近高値はそれぞれ8月16日、8月15日となっています(以上、いずれも終値ベース)。

3指数とも、まだ年初来安値を更新するまでには至っていませんが、米国のインフレや利上げペース、景気動向が見通しにくいなか、投資家のリスクオフ(回避)姿勢が続いており、下値不安がくすぶります。そこで今回のレポートでは、テクニカル分析の1つであるフィボナッチ・リトレースメントを使って、ダウ平均、S&P500、ナスダックの下値目途を探ります。

ダウ平均は、年初来安値から直近高値までの上昇幅から76.4%押した30,745ドル近辺が目途

フィボナッチ・リトレースメントとは、相場が反転(反落)した場合、戻り(押し)の目安をみる上でよく用いられるテクニカル分析です。一般に、高値(安値)から安値(高値)までの下げ幅(上げ幅)から、23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、 76.4%戻し(押し)た水準を目安と考えます。それでは以下、3指数について、6月中旬の年初来安値から8月中旬の直近高値までの上げ幅に基づき、下値目途を算出します。

まず、ダウ平均について、年初来安値から直近高値までの上げ幅は、4,628ドル07セントですので、直近高値から61.8%押した水準は、31,421ドル21セントになります(ローソク足チャートにおける高値・安値で計算、以下同じ)。ただ、9月1日と2日の取引時間中、すでにこの水準を下抜けているため、次は76.4%押した水準の30,745ドル51セントが下値目途となります(図表1)。

S&P500とナスダックの76.4%押し水準は、それぞれ3,799ポイント近辺、11,182ポイント近辺

次に、S&P500について、年初来安値から直近高値までの上げ幅は、688.41ポイントですので、直近高値から61.8%押した水準は、3,899.84ポイントになります。なお、9月1日と2日の取引時間中の安値は、それぞれ3,903.65、3,906.21ポイントであり、この水準でサポートされていることが分かります。この水準を下抜けた場合、次は76.4%押した水準の3,799.33ポイントが下値目途となります。

最後に、ナスダックについて、同様に61.8%押した水準は、11,564.43ポイントで、9月1日と2日の取引時間中の安値をサポートしました(図表2)。ここを下抜けると、次は76.4%押した水準の11,182.50ポイントが下値目途となります。以上は、あくまで目安であり、必ず下げ止まるというものではありませんが、米国株の極めて不安定な動きが続いている現状では、参考になると考えています。

 

 

 

(2022年9月6日)

市川レポート バックナンバーはこちら

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会