ビットコインとは:その魅力と投資における留意点

2021/06/21

金融市場での存在感が向上

もうビットコインを無視できません。投資対象として、それは今後ますます存在感を高める、と予想されるからです。また、その値動きが株式市場などに影響を及ぼす場面も、散見されるようになっています。

今年5月には、ビットコインの急落につられ、米国株も一時下落しました。ビットコインで損失を被った投資家が、それを補填すべく株式を売却する、という動きや思わくが生じたためです。そうした動きは、今後もっと増えそうです。よって、少なくともビットコインの概要を、知っておいた方がよいでしょう。

基盤にはブロックチェーン

ビットコインは、最も代表的な暗号通貨です。それを支えるのは、データの暗号化技術を用いた「ブロックチェーン」という、インターネット上の台帳です。暗号通貨の取引履歴は、この台帳に記録されます。

暗号通貨には紙幣や硬貨が存在しないため、仮想通貨とも呼ばれます。大きな「B」が刻印されたよく見られるメダルは、単なるイメージグッズです。つまり、暗号通貨はキャッシュレスの通貨です。ただし、チャージ式カードによる電子マネーや、既存のコード決済などとは、思想や仕組みが根本的に異なります。

本来の目的は「脱中央集権」

電子マネーなどの場合、円やドルといった法定通貨による決済を、キャッシュレスで行えるようにしただけです。他方、暗号通貨は、実物が元来存在しない上、どの国にも統制されない新しい種類の通貨です。

そのように、中央主権的な統制(国・中央銀行による発行や保証)から脱するという点に、ビットコインの思想が存します。その取引の正当性を保証するのは、世界中の取引を記録するブロックチェーンです。この点が、国家からの解放を願う極度の自由主義者や、無政府主義者たちから、熱烈な賛同を得ています。

決済手段としては発展途上

暗号通貨は国の保証がないとはいえ、その価値を信じる人々がいる限り、送金や買物に使えます(銀行が介在しないため、送金手数料は通常割安)。ただ、それを用いて決済できる店舗は、まだ多くありません。

このため現在、ビットコインは、日本では特に投資対象として脚光を浴びています。その投資は、取引所や交換所と呼ばれる事業者に口座を開設した上、スマートフォンで簡単に、為替取引と似た感覚で、少額から行えます。ただし、大きなリスクを伴うため、安易な投機は慎み、余剰資金で投資を行うべきです。

ポイントは普及動向と規制

今年、ビットコインは一時高騰しましたが、値動きは極めて激しく(図表1, 2)、その予測は困難です。また、長期的な動きは、世界中の政府・企業・人々がその使用をどれだけ許容するか、にかかっています。

使用が広がれば、ビットコインへの需要が増え、円やドルなどに対し値上がりしやすくなります(逆に5月の急落は、中国での暗号通貨の規制強化が主要因)。現時点では、さらに普及する可能性は高い、と言ってよさそうです。ビットコインの利便性、そして思想的な魅力には、抵抗しがたいものがあるからです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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