決算発表本格化前での日本株下落の背景

決算発表本格化前での日本株下落の背景

  • 20日の日経平均は大幅安、緊急事態宣言発令なら景気や業績は下振れるとの警戒が強まった。
  • 過去2回の緊急事態宣言において、日経平均は宣言後の活動再開などを織り込み2回とも上昇。
  • ただ変異株の感染は要注意で決算への過度な期待も困難、4-6月期の日経平均は揉み合いか。

20日の日経平均は大幅安、緊急事態宣言発令なら景気や業績は下振れるとの警戒が強まった

日経平均株価は4月20日、前日比584円99銭(2.0%)安の29,100円38銭で取引を終了しました。今週後半から本格化する3月期決算企業の決算発表を前に、日経平均株価はしばらく29,000円台後半での小幅な値動きが続いていました。しかしながら、国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、大阪府と東京都が緊急事態宣言の発令を政府に要請する見通しが強まると、景気と業績への懸念が一気に広がりました。

市場が改めてコロナの感染拡大を材料視した背景には、①日本を含む世界各国で、感染力が強い変異株が猛威を振るい、コロナの新規感染者数が過去最多となっていること、②日本は先進国の中でもワクチンの接種率が低いこと、などがあると思われます。国内で休業要請など強い措置が打ち出されると、業績予想の下振れ要因となるため、決算前でも売り急ぐ向きが増え、20日の下げにつながったと推測されます。

過去2回の緊急事態宣言において、日経平均は宣言後の活動再開などを織り込み2回とも上昇

なお、NHKのニュースサイト、NHK NEWS WEBの4月21日付記事によると、政府は、緊急事態宣言の発出を要請した大阪に加え、要請を調整している東京と兵庫を含めた3都府県を対象に宣言を出す方向で検討しているとのことです。また、同日の日経平均株価は、寄り付きから売り優勢の展開となり、節目の29,000円を割り込み、不安定な値動きが続いています。

そこで以下、過去2回の緊急事態宣言と株価の関係を確認してみます。日経平均株価は、1回目の緊急事態宣言中(2020年4月7日~5月25日)に11.7%上昇し、2回目の緊急事態宣言中(2021年1月8日~3月21日)に8.4%上昇しました(図表1)。つまり、緊急事態宣言が発令されると、市場は直ちに、それによる感染者数の減少と、宣言解除後の経済活動再開を織り込み、株高で反応する傾向がうかがえます。

ただ変異株の感染は要注意で決算への過度な期待も困難、4-6月期の日経平均は揉み合いか

ただ、今回は変異株の感染が広がっており、株価が必ずしも過去2回のケースと同じ動きにならないこともあるため、慎重な見方が必要です。なお、物色の傾向については、これまで感染が広がった時期に見られたものと、それほど大きな相違はないと思われます。すなわち、非接触・非対面型のビジネスに対応できる銘柄が、業種を問わず引き続き選好されやすいとみています。

今回の企業決算は、市場の期待を上回る業績予想が、想定以上に多く示されない限り、相場全体を押し上げる材料にはなりにくいと思われます。そのため、弊社は4-6月期の日経平均株価について、揉み合いの動きを予想しています。日経平均株価は2月以降、28,000円台前半から30,000円を少し超えた水準でレンジを形成しているため(図表2)、目先は下限でのサポートの成否に注目しています。

(2021年4月21日)

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