シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687) 増収、大幅な営業増益 売上高は大きく伸長

2024/02/15

 

 

泉澤 豊

会長

 

泉澤 摩利雄

社長

株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長

泉澤 豊

代表取締役社長

泉澤 摩利雄

所在地

千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1

決算月

2月

HP

 http://www.cvs-bayarea.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

712円

4,936,349株

3,514百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

2.8%

66.24円

10.7倍

555.90円

1.3倍

*株価は1/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2023年2月期実績。
時価総額は1/17終値×自己株式控除後発行済株式数、数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

営業総収入

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2019年2月(実)

10,916

31

-28

3,801

770.04

30.00

2020年2月(実)

10,427

37

165

-401

20.00

2021年2月(実)

7,318

-546

-548

-1,160

14.00

2022年2月(実)

7,209

-323

-358

-831

12.00

2023年2月(実)

6,926

81

47

-13

16.00

2024年2月(予)

7,380

428

432

327

66.24

20.00

*単位:百万円、円。
*予想は会社予想。

 

 

シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2024年2月期第3四半期決算と2024年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告いたします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年2月期第3四半期決算
3.2024年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/2期3Q累計は前年同期比10.4%増収、営業利益は前年同期12百万円から4億46百万円へ大幅に伸びた。マンションフロントサービス事業において安定した収益を確保、ホテル事業においてはインバウンド需要の拡大や団体旅行の復調、行楽シーズンによる国内旅行の好調を受け、週末を中心に連日高稼働で推移するなど売上高は大きく伸長した。利益面では、ホテル事業収入が倍増したこともあり、営業総利益率が前年同期37.8%から45.0%へ大幅に改善し、営業総利益は前年同期比31.3%増の25億45百万円となった。販管費は同9.0%増に抑え、大幅な営業増益。親会社株主に帰属する四半期純利益は3億93百万円(前年同期は80百万円の損失)となった。 
  • 通期予想に修正はなく、24/2期は前期比6.5%増収、428.4%営業増益を見込む。ホテル事業では、「モンチッチ」の生誕50周年を祝した「ルーム・コラボレーション」企画の第2クールの販売を12月下旬より開始。グッズ販売やイベント、ファン同士の集いの場としての機能を強化し、宿泊以外の需要の獲得もさらに進める考え。マンションフロント事業では、インターホンメーカー大手「アイホン社」とのIoTシステム連携による新機能を追加し提供を開始した。クリーニング事業では、新たな試みとして「LINE」を通じたトータルクリーニングサービスの導入及び展開を23年10月より開始。予想配当についても修正なく、期末配当は前期比2.00円増配の10.00円/株(年間で4.00円増配の20.00円/株)を見込む。 
  • 3Q累計営業利益の通期予想に対する進捗率は104.3%に達しており、4Qはホテル事業などにおいて閑散期にあるとはいえ余力をかなり残しているといえそうだ。四半期毎では、売上高は1,920(1Q)→1,830(2Q)→1,907(3Q)百万円、同期間営業利益は171→109→165百万円と3Qは着実な進展。足元も訪日外国人は増加傾向にあり、ホテル事業では高価格帯に軸足を移す価格戦略を敷いていることからさらなる利益貢献も期待できるだろう。安定しているマンションフロント事業では、「OICOS」で機能を拡充させながら受託件数を伸ばしているだけでなく集合住宅用インターホンメーカー「アイホン社」との連携など新たなサービスを投入し、収益源の多様化も図られている。クリーニング事業では、業務効率化が更に進みそうである。来期を見据えると、千葉県成田市において来春以降に向けて「宿屋が提供するアウトドアリゾート」をコンセプトとしたリゾート空間の展開が計画されている。ホテル事業とマンションフロント事業の安定した収益貢献に加えてその事業展開にも注目したい。2Q期間に失速した感のあった昨年10月の上期決算発表後から株価は低迷しているものの、3Qは着実な展開を見せている。余力のある保守的な会社予想だがPERは低位にあり、割安感がある。今後は徐々に見直されるのではないだろうか。 

1.会社概要

(1)沿革

1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニエンス・ストア(コンビニ)事業をスタート。その後、クリーニング事業およびマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:東証スタンダード)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格した。
2009年11月、千葉県市川市にビジネスホテルの1号店となる「CVS・BAY HOTEL」を開業し、ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニ事業の一部を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡、「コンビニを営む会社」から「コンビニも営む会社」への転換を実施。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ホテル事業の更なる強化のほか、M&A等により、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2021年3月、組織変更を行うとともに、泉澤 摩利雄氏が代表取締役社長に就任。グループ企業理念を「生活のなかで彩りを感じて頂く、新しいサービスを発見し、創造し、提供する」とし、社会環境の変化とともに変わっていく消費者ニーズへの即応を図るとともに、多くのお客様に喜んで頂く価値あるサービスの拡充に努めている。

 

(2)主な事業内容

(同社公開資料より)

 

19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となっているが、コンビニ事業も一部継続しているほか、ホテル事業の拡大、早期収益化に向けた各種施策の実行による既存ユニット型ホテル施設の早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指していた。しかし、21/2期については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を各事業が受け、特にホテル事業は大幅減収となり一部のホテルは撤退した。以降、稼働率を重視した施策から客室単価・RevPARを重視した施策に切り替え、知名度の高いメディアコンテンツとのコラボや需要の変化を見据えたホテルコンセプトの再構築に取りくみ、21/2期を底にホテル事業の売上は回復傾向。運営施設数は減少している一方で23/11月(3Q)実績は新型コロナウイルス感染症拡大前の19/11月(3Q)と同水準まで回復している。
主力のマンションフロントサービス事業は首都圏以外の地域(大阪圏、九州圏、北海道)への進出に加えシェアオフィス、公共施設といったマンション以外の受付業務にも取り組んでいる。

 

①マンションフロントサービス事業
19/2期以降の主力事業。連結子会社(株)アスクのほか地域運営会社8社が提供。
【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営等を手掛けている。また、マンション居住者、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS」を展開、機能を拡充させて近年は派生サービスを含めて大きく伸ばしている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に751件(23年11月末時点)の施設などを受託。マンション内の居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。その他では、主サービスであるマンションコンシェルジュ業務にて培った高付加価値サービスを活かし、企業受付・シェアオフィスコンシェルジュサービスも提供している。また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を実現している。

 

②ホテル事業
【事業概要】
ホテル事業は、千葉県市川市の「CVS・BAY HOTEL」本館及び新館、浦安市の「BAY HOTEL浦安駅前」、東京都港区の「BAY HOTEL東京浜松町」、東京都千代田区の「秋葉原BAY HOTEL」、東京都江東区の「東京有明BAY HOTEL」からなる。
【事業展開】
同社が最も注力していた事業だが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、業績不振施設の撤退は一巡完了した。今後は、社会情勢の変化を踏まえ、ウィズコロナ期において急速に回復した需要を取り込み、新たな付加価値の創出によるサービス品質の向上を目指し、事業展開を進めている。施設毎のメインターゲットを明確にすることで、需要取り込みに向けたマーケティング施策・レベニューコントロール施策を強化していく考え。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ」作成

 

<CVS・BAY HOTEL>
(概要)
09年12月開業。JR京葉線市川塩浜駅前でコンビニ併設のビジネスホテル。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。
本館(シングル21室、ダブル46室、ツイン41室)、15年12月に開業した新館(シングル18室、ダブル5室、ツイン26室、ファミリー2室、女性専用ユニット区画20室)、及び20年10月に増設したベイタワー(シングル42室、ツイン63室、トリプル2室)からなる。
新館は、本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。また、女性専用ユニット区画は安心清潔が評価されている。ベイタワーは本館と連絡通路で接続しており、1階には飲食テナントが入居するほか、2階には大浴場やセミナールームを完備するなど、旅行や出張、企業研修などの様々な用途で利用できるホテルとなっている。

 

CVS・BAY HOTEL(右はベイタワー)                     CVS・BAY HOTEL新館
(同社HPより)

 

<BAY HOTEL浦安駅前>
18年6月開業。千葉県浦安市の東京メトロ東西線「浦安駅」徒歩1分の好立地に長期滞在にも快適なアパートタイプホテル(ツイン/トリプル48室)。
お風呂とトイレが別々、キッチン付で複数名での長期滞在可能なアパートタイプホテル。出張などのビジネス客から学生の就職活動、家族やグループ旅行に適している。

 

(同社HPより)

 

<BAY HOTEL東京浜松町>
20年7月開業。ビジネスホテルとして東京初進出。
当初はビジネスホテルとユニット型ホテルを組み合わせた新たなタイプのハイブリッドホテルとして開業した。ユニット48室についてはリニューアル改装工事を実施、23年3月24日より3名以上の顧客が秘密基地のような空間でゆったりとくつろいで宿泊できる広々とした個室4室に生まれ変わった。ビジネスマンやバックパッカーのみならず日本人旅行者やグループ利用にも対応した宿泊形式を採用し、幅広い宿泊需要の獲得を目指している。

 

 

 

リニューアルした3階フロアの客室

(同社HPより)

 

<秋葉原BAY HOTEL>
16年5月開業。東京都千代田区神田練塀町にあり、いずれの秋葉原駅からも徒歩3分のユニット型女性専用ホテル(130ユニット)。
(同社公開資料より)

 

<東京有明BAY HOTEL>
15年12月開業のユニット型ホテルで、146ユニット(M80・W66)。東京都江東区東雲2丁目にあり、りんかい線東雲駅4分。ビッグサイト利用者に加え、舞浜やお台場の観光客も活用。

(同社公開資料より)

 

2.2024年2月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

23/2期 3Q累計

構成比

24/2期 3Q累計

構成比

前年同期比

営業総収入

5,124,

100.0%

5,658

100.0%

+10.4%

営業総利益

1,938

37.8%

2,545

45.0%

+31.3%

販管費

1,925

37.6%

2,099

37.1%

+9.0%

営業利益

12

0.3%

446

7.9%

経常利益

-18

464

8.2%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

-80

393

7.0%

*単位:百万円
*数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比10.4%増収、営業利益は4億46百万円へ大幅増
営業総収入は前年同期比10.4%増の56億58百万円。国内経済は、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類へ移行された23年春以降、国内景気に緩やかな回復が見られ、消費行動を促進する環境変化が急速に進んだことで経済活動の正常化が加速した。23年10月には訪日外客数が新型コロナウイルス感染拡大前の19年同月実績をコロナ禍後で初めて上回るなど、インバウンド需要の急回復も顕著となり、レジャーや宿泊など観光関連産業の各産業も持ち直しが進んだ。一方で、世界的な金融引き締めや、中国をはじめとする海外経済の減速、円安の進行、エネルギーコストの高止まりや物価高騰を背景とする節約志向の高まりが個人消費の下押し要因となるなど、景気の先行きは依然として不透明な状況。こうした環境の中、マンションフロントサービス事業において安定した収益を確保した。ホテル事業においてはインバウンド需要の拡大や団体旅行の復調、行楽シーズンによる国内旅行の好調を受け、週末を中心に連日高稼働で推移するなど売上高は大きく伸長した。
営業利益は前年同期12百万円から4億46百万円へ大幅に増加した。ホテル事業収入が倍増したこともあり、営業総利益率が前年同期37.8%から45.0%へ大幅に改善し、営業総利益は前年同期比31.3%増の25億45百万円となった。販管費は同9.0%増に抑え、大幅な営業増益。営業外では不動産賃貸費用が減少、経常利益は4億64百万円(前年同期は18百万円の損失)。税負担は増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億93百万円(前年同期は80百万円の損失)となった。
なお、23年7月の事業用地取得以降建築工事にも着手し、開発を進めているアウトドアリゾート施設(千葉県成田市)については、「記憶に残る非日常の提供」を通じた顧客体験価値の向上を図るとともに、サービス内容の充実や品質レベルの追求、顧客の安心安全に配慮した各種運営オペレーション及び供給体制の確立に充分な準備期間を有したいとの考えから、開業時期を24年4月から25年3月に変更した。なお、同施設の開業準備資金19億22百万円を調達するため、新たに株式会社三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとするコミット型シンジケートローン契約を4Q期間である23年12月21日に締結し、同28日に11億95百万円の借入を行っている。

 

セグメント別収益

 

23/2期

3Q累計

構成比

/利益率

24/2期

3Q累計

構成比

/利益率

前年同期比

ホテル事業

620

12.0%

1,264

22.1%

+103.8%

マンションフロントサービス事業

3,213

61.9%

3,225

56.4%

+0.4%

クリーニング事業

177

3.4%

156

2.7%

-11.9%

コンビニエンス・ストア事業

1,051

20.3%

988

17.3%

-6.0%

その他事業

125

2.4%

79

1.4%

-36.5%

消去・全社

-64

-55

営業総収入

5,124

100.0%

5,658

100.0%

+10.4%

ホテル事業

-78

346

27.4%

マンションフロントサービス事業

318

9.9%

317

9.8%

-0.1%

クリーニング事業

16

9.3%

32

21.0%

+98.0%

コンビニエンス・ストア事業

64

6.1%

72

7.4%

+13.2%

その他事業

35

28.0%

19

24.4%

-44.6%

調整額

-342

-342

セグメント利益

12

0.3%

446

7.9%

*単位:百万円。利益率は営業総収入利益率。
*数値は切捨て、率は四捨五入。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

ホテル事業
事業収入は前年同期比103.8%増の12億64百万円、セグメント利益3億46百万円(前年同期は78百万円の損失)。
23年春以降、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行されたことで、回復傾向にあった人流はより活発化し、9月以降はインバウンド需要がさらに急回復したことに加え、団体旅行の復調や行楽シーズンによる国内旅行も拡大したことで、3Q期間としては過去最高の収入となった。
千葉県内で運営するビジネスホテル施設においては、近隣のテーマパークにおいてプロモーションの強化や大型イベントの積極開催を背景に来園者数が大幅に増加したことで、レジャー関連の宿泊者数が大きく伸長した。また、修学旅行や企業イベントなど団体宿泊需要の獲得に取り組むことで売上高は大きく伸長した。加えて、複数名利用者のニーズに則したプラン設計や連泊予約を可能とする販売コントロールの展開、ファミリーやグループ旅行者へのアプローチ強化を図り、1部屋当たりの利用人数の拡大を追求した。さらには、需要予測に基づく販売価格の調整を行うことで、客室単価の適正値維持に努めることで収益改善が進んだ。
「BAY HOTEL東京浜松町」においては、23年3月に「ユニットフロア」の全面リニューアル工事を行い、小さな子供を含むファミリーや国内外のグループ旅行者に対する訴求を強化した。この結果、宿泊価格は1室3万円以上と高単価でありながら、3月下旬の販売開始以降、高稼働で推移するなど、ターゲットとする客層による利用拡大が進み収益性の改善が進んでいる。
ユニット型ホテル2施設においては、都心における宿泊需要の回復を受けて高止まりが続くビジネスホテルの客室単価高騰を背景に、リーズナブルで利便性の高い施設としての支持を受け、需要獲得が進んだ。

 

 

マンションフロントサービス事業
事業収入は前年同期比0.4%増の32億25百万円、セグメント利益は同0.1%減の3億17百万円。
コロナ禍から平時への移行が急速に進んだことを受け、マンションフロントにおける生活支援サービスの利用にも復調が見られ、クリーニング取扱高、マンション内ショップ売上高及び居住者向けイベント開催は回復傾向が続いている。マンション居住者、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS」では機能を拡充させた。加えて、100世帯以下の中・小規模マンション向けの「OICOS Lite」ならびに、同シリーズと連携可能なスマホアプリ「OICOS App」を通じ、マンション規模が小さく有人フロントサービスの提供が困難な施設への導入提案を推進するなど、有人フロントサービス以外の選択肢の開拓に努め、受託件数の獲得を進めている。3Q末時点における総受注件数は対前期末比3件増の751件、うち「OICOS」受注件数は同11件増の142件となった。

 

クリーニング事業
事業収入は前年同期比11.9%減の1億56百万円、セグメント利益は同98.0%増の32百万円。
23年11月末を以てユニフォーム管理センター業務を終了したことで減収となったほか、個人向けクリーニングにおいては、取次拠点の減少が続くものの、既存顧客へのアプローチを強化し、需要の掘り起こしに向けた施策を展開した。マンションフロント事業との親和性も高く今後の需要拡大も見込まれるハウスクリーニングや保管サービス等の新規獲得にも注力したほか、バックオフィス業務の効率化を並行して進め、管理コストの削減にも努めたことで、大幅な増益となった。

 

コンビニエンス・ストア事業
事業収入は前年同期比6.0%減の9億88百万円、セグメント利益は同13.2%増の72百万円。
23年春以降新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行されたことを受け、主力店舗近隣の大型テーマパーク、商業施設、大規模展示場における各種イベントは、コロナ禍前と同規模もしくはそれを上回る規模で連日開催されたことで来場者数が大きく増加した。この影響に加え、自社ホテルに併設する店舗においても宿泊者数の増加などにより夕夜間の来店客数が増加したことで、売上高は引き続き伸長した。23年1月に順次実施した店舗のリニューアル工事により、新たな店内調理設備「まちかど厨房」を導入し、品揃えの見直しと強化を推進したことにより、収益性の改善も好調に推移した。なお、23年3月末に東京都心で運営する1店舗を、借地契約の満了に伴い閉店したため、3Q末時点の店舗数は4店舗となった。

 

その他事業
事業収入は前年同期比36.5%減の79百万円、セグメント利益は同44.6%減の19百万円。
その他事業では、事業用不動産の保有や賃貸管理、ヘアカットサービス店舗の運営のほか、千葉県成田市においてキャンプ場の運営を行っている。キャンプ場においては、コロナ禍から平時への移行が急速に進む中、遠方への旅行需要が拡大した影響などにより、首都圏近郊にある同施設の利用者数は対前年比で減少した。前年同期に都内に保有する賃貸用不動産を譲渡した反動もあり減収減益となった。
なお、千葉県船橋市の借地物件につい て、23年11月の事業用借地権設定契約の満了を以て同社は以降の契約を更新せずに撤退する。引き続きの賃借を望む転借人に対し、当該借地内に同社が保有する固定資産を贈与するとともに、同社が負う原状回復義務の承継を行うことで合意した。そのため、固定資産の贈与を当該契約の満了日に実施し、同日で当該借地に対する原状回復義務が消滅したことを受け、資産除去債務消滅益として21百万円の特別利益を計上した。

 

(2)財政状態

 

23年2月

23年11月

 

23年2月

23年11月

現預金

1,772

1,826

仕入債務

147

193

売上債権

417

435

短期有利子負債

2,020

2,586

たな卸資産

52

52

流動負債

2,917

3,994

その他流動資産

305

388

長期有利子負債

2,448

2,228

流動資産

2,557

2,702

長期預り保証金

354

355

有形固定資産

3,222

4,232

固定負債

3,017

2,774

無形固定資産

38

39

純資産

2,744

3,056

投資その他

2,860

2,850

負債・純資産合計

8,679

9,825

固定資産

6,122

7,123

有利子負債合計

4,469

4,815

*単位:百万円。
*有利子負債=借入金+リース債務(長期のみ)。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

3Q末における資産合計は、前期末比11億46百万円増加し、98億25百万円となった。その主な内訳は、現預金が54百万円、その他流動資産が83百万円それぞれ増加したことなどにより、流動資産が1億45百万円増加し、アウトドアリゾート施設開設へ向けた土地の取得及び建設仮勘定の増加などにより固定資産が10億円増加したことであった。
負債合計は、前期末比8億33百万円増加し、67億68百万円となった。その主な内訳は、短期借入金が5億70百万円、未払金が4億79百万円それぞれ増加したことなどにより、流動負債が10億76百万円増加した一方、長期借入金が2億13百万円減少したことなどにより、固定負債が2億43百万円減少したことであった。
純資産は、前期末比3億12百万円増加し、30億56百万円となった。その主な内訳は、剰余金の配当を行ったほか、親会社株主に帰属する四半期純利益を3億93百万円計上したことであった。
自己資本比率は前期末31.6%から31.1%となった。

 

 

3.2024年2月期業績予想

(1)通期連結業績

 

23/2期 実績

構成比

24/2期 予想

構成比

前期比

期初予想

営業総収入

6,926

100.0%

7,380

100.0%

+6.5%

7,034

営業利益

81

1.2%

428

5.8%

+428.4%

180

経常利益

47

0.7%

432

5.9%

+819.1%

145

親会社株主に帰属する当期純利益

-13

327

4.4%

97

*単位:百万円

 

通期予想に修正はなく、24/2期は6.5%増収、428.4%営業増益を見込む
通期予想に修正はなく、24/2期は営業総収入が前期比6.5%増の73億80百万円、営業利益は同428.4%増の4億28百万円を見込む。尚、今期は1Q及び上期決算発表時に2度上方修正した。
ホテル事業では、キャラクターコンテンツとのコラボ企画において、国内外の幅広い年齢層から支持される人気キャ ラクター「モンチッチ」の生誕50周年を祝した「ルーム・コラボレーション」企画の第1クールを23年6月より 実施し、続く第2クールの販売も12月下旬より開始。グッズ販売やイベント、ファン同士の集いの場としての機能を強化し、宿泊以外の需要の獲得もさらに進める考え。マンションフロント事業では、23年11月にインターホンメーカー大手「アイホン社」とのIoTシステム連携による新機能を追加し、その提供を開始した。居住者向けの生活支援サービス、管理組合の運営支援、管理会社のサポート、及びマンション管理のさらなる効率化を図り、スマート且つワンストップな管理の実現にも取り組んでいる。クリーニング事業では、新たな試みとしてモバイルコミュニケーションツール「LINE」を通じクリーニング対象品の集荷依頼や各種相談を24時間可能とし、キャッシュレス決済にも対応したトータルクリーニングサービス「オンラインコンシェルジュ」の導入及び展開を23年10月より開始。マンション居住者のそれぞれのニーズに対応し、フロントや近隣提携工場の有無にかかわらず常時提供できる利便性の高いサービスの開発にも着手している。
予想配当についても修正なく、期末配当は前期比2.00円増配の10.00円/株(年間で4.00円増配の20.00円/株)を見込む。

 

(2)上期決算発表時のセグメント別

事業施策

 

ホテル事業

●22年秋以降、新型コロナウイルス感染症による各種規制の緩和が進み、経済活動の正常化が加速、出張やレジャーによる人流はコロナ禍前の水準にまで回復。
●23年春以降、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行、人流はより活発化し、インバウンド需要も急速に回復、国内の宿泊需要は拡大傾向に。
●23年9月の訪日外国人数は218万人を超え、19年9月の227万人に迫る。

 

 

 

 

●訪日外国人については、22年秋以降新型コロナウイルス感染症に伴う各種水際対策は大幅に緩和され、減便となっていた国際線定期便も23年夏までにコロナ禍前の6割まで回復。

 

 

 

●稼働率のみを追求する運営を改め、ADR(客室平均単価)とRevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益)に重点を置く販売コントロール施策を展開。
●ADR推移:6,830円(22年8月)→9,755円(23年8月) およそ1.5倍
RevPAR推移:3,307円(22年8月)→6,791円(23年8月) およそ2倍
●ビジネスホテルでは、企業研修や出張、部活動の遠征、修学旅行などの団体連泊といったレジャー領域以外の宿泊需要を積極的に取り込む。レジャー需要の季節変動を回避し、年間を通じ安定した稼働が維持できるよう営業を強化する。 
●駅から5分圏内、都内へのアクセス良好の「立地優位性」を強みに、豊富な部屋数と部屋タイプ、多様な宿泊プランにて幅広いニーズに呼応。
●ユニット型ホテルでは、都内の宿泊需要回復を受けてビジネスホテルの客室単価は高止まりの状況に。利便性が高くリーズナブルな施設としての認知を図り訴求を高める考え。
●東京ビッグサイト、有明ガーデンシアター、東京ドームシティなど近隣の大型催事場等で行われる来場型イベントへの参加を目的に、宿泊費は安価に抑えたい20代~40代をターゲットとした販売戦略を展開。
●ターゲット層(20~40代の女性を中心とするグループおよびファミリー層)との親和性が高いキャラクターコンテンツとのコラボ企画を積極展開、「ここにしかない」「ここでしか味わえない」世界感を創造し提供する。「好き」「推し」に没入できる「場」を提供する施設としての認知を目指す。

(同社公開資料より)

 

●顧客ニーズの変化に対応するハード面の改修も積極的に検討、23年3月にはBAY HOTEL東京浜松町のユニットフロア(48室)を全面改装し、1室4名以上での宿泊が可能な「大型客室」(4室)を整備。
●Z世代を中心とする女性グループ、ファミリー、インバウンド層に訴求する。
●1室30,000円~と、高単価ながら高稼働をキープ、収益性にも貢献。
●事業展開を通じ、地域社会の発展を目指す立場から、千葉県に拠点を置くプロバスケットボールクラブの「アルティーリ千葉」をスポンサーとして支援。
●スポーツ支援を通じより多くの顧客対して訴求、認知度を高めることでブランド価値向上を目指す。

 

新事業への挑戦
●来春以降に新施設の開業(千葉県成田市)を計画。コンセプトは「宿屋が提供するアウトドアリゾート」。
●宿泊場所としての「宿」ではなく、訪れることそのものがレジャーの目的となるような「リゾート空間」の提供を目指す。

(同社公開資料より)

 

アウトドアリゾート施設(宿泊ゾーン)完成イメージ

(同社公開資料より)

 

マンションフロント事業

●全国のマンション販売戸数は減少傾向。建設コストの高止まり、建設に適した用地不足、小規模物件増加傾向。
●有人コンシェルジュの導入が可能となる大型物件は減少傾向が続く。

 

●高品質な有人サービスの提供
・従来の展開地域において有人サービスは「高級~超高級層物件」に特化した展開へと切り替える。
・従来より培ったノウハウを活かし、マンション以外の受付・フロントへの獲得を強化。
●時代に則したサービスの提供
・非有人物件でも有人物件に近しいサービスを提供する。 ~OICOSの提供拡大、ASQ GEMの展開~

(同社公開資料より)

 

●展開地域、対象物件の拡大
・現状の展開は6大都市を中心に18都道府県だが、その近隣エリアを対象に20~25まで増やす。
・展開地域においては、高級物件以外の物件にも対象を広げ、新規取引先を拡大させる。
・マンション以外の住戸形態への適用も模索する。

 

●同社システムを媒介として、利便性のあるサービスを提供するプラットフォーマーとしての立ち位置を獲得する。

 

*株主優待制度
毎年2月末日、8月末日の株主名簿に記載または記録された100株(1単元)以上の同社株式を保有する株主が対象。
22年6月より同社運営のキャンプ場「成田スカイウエイ BBQ(CAMP)」で利用できる優待券を新たに拡充した。

 

株主優待制度の内容

 

 

 

株主優待が利用できる施設

 

①ホテル宿泊割引券
ビジネスホテル

施設名 所在地 アクセス
CVS・BAY HOTEL

本館

千葉県市川市塩浜2-33-1 JR京葉線 「市川塩浜駅」改札出てすぐ

舞浜駅 2駅 6分

CVS・BAY HOTEL

新館(*1)

千葉県市川市塩浜2-3-8 「本館」に隣接

海浜幕張駅(幕張メッセ)まで14分

CVS・BAY HOTEL

浦安駅前(*2)

千葉県浦安市北栄1-15-28 東京メトロ東西線 「浦安駅」徒歩1分
CVS・BAY HOTEL

東京浜松町

東京都港区浜松町1-16-9 JR山手線 「浜松町駅」徒歩4分

羽田空港まで 直通19分

(*1)CVS・BAY HOTEL 新館 は、女性専用のユニットタイプの客室(20室)あり
(*2)BAY HOTEL 浦安駅前 は、アパートメントタイプのビジネスホテル

 

スマートホテル

施設名 所在地 アクセス
秋葉原

BAY HOTEL

(女性専用)

東京都千代田区神田練塀町44-4 JR 山手線・京浜東北線・総武線

東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩3分

東京有明

BAY HOTEL

東京都江東区東雲2-10-17 りんかい線 「東雲駅」徒歩4分

国際展示場駅 1駅 2分

各施設の最新の運営情報については「BAY HOTEL総合サイト」を参照

 

②キャンプ場割引プラン申し込み券

施設名 所在地 アクセス
成田スカイウエイBBQ(CAMP)            千葉県成田市駒井野 1091-1 東関東自動車道成田 IC より成田空港方面に

国道 295(空港通り)を車で3分

キャンプ場の最新の運営情報については「成田スカイウエイBBQ公式サイト」を参照

 

4.今後の注目点

1Q、上期決算発表時においては上方修正したものの今回は、予想は据え置かれた。ただし、3Q累計営業利益の通期予想に対する進捗率は104.3%に達しており、4Qはホテル事業などにおいて閑散期にあるとはいえ余力をかなり残しているといえそうだ。四半期毎では、売上高は1,920(1Q)→1,830(2Q)→1,907(3Q)百万円、同期間営業利益は171→109→165百万円と3Qはサプライズとは言えないものの着実な進展。
足元も訪日外国人は増加傾向にあり、ホテル事業では高価格帯に軸足を移す価格戦略を敷いていることからさらなる利益貢献も期待できるだろう。安定しているマンションフロント事業では、「OICOS」で機能を拡充させながら受託件数を伸ばしているだけでなく集合住宅用インターホンメーカー「アイホン社」との連携など新たなサービスを投入し、収益源の多様化も図られている。クリーニング事業では、前期に自社工場を閉鎖、当期にユニフォーム管理センター業務を終了しており、業務効率化が更に進みそうである。
来期を見据えると、既にキャンプ場を運営している千葉県成田市において昨年7月に土地を取得し、来春以降に向けて「宿屋が提供するアウトドアリゾート」をコンセプトとしたリゾート空間の展開が計画されている。ホテル事業とマンションフロント事業の安定した収益貢献に加えてその事業展開にも注目したい。
失速した感のあった昨年10月の上期決算発表後に株価は低迷しているものの、3Q決算では着実な展開を見せている。余力のある保守的な会社予想だがPERは低位にあり、割安感がある。今後は徐々に見直されるのではないだろうか。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役(監査等委員除く) 8名、うち社外取締役 4名
監査等委員 3名、うち社外取締役 3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日 2023年5月31日

 

<基本的な考え方>

 

当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、株主の皆様やお客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーと適切な関係を構築し、社会的責任を果たしていくことであると考えております。この考え方は、当社の社是である「明日への誓い」のなかで、すべてのステークホルダーに対し“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営を目指していくことを掲げていることに基づくものです。そのためには、法令遵守のほか、経営の透明性や効率性をより一層高めていくことが不可欠であり、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

法令遵守においては、企業理念を具現化した「企業行動基準」を定め、同基準を当社グループに横断的に運用しているほか、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配付しており、当社グループの全社員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を図っております。

 

当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の透明性や監督機能の強化を図ることを目的としております。また、当社の職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、業務執行取締役や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しないおもな理由>

 

補充原則1-2-4.議決権の電子行使を可能とする環境作り及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示・提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳および英語での情報開示は実施しておりません。今後は、株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。

 

原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者およびその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者およびその関係者が議決権の過半数近くを所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実を図りつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。

 

原則2-3-①.サステナビリティを巡る課題への対応
補充原則3-1-③.サステナビリティを巡る取組みの開示
補充原則4-2-②.サステナビリティを巡る取組みの基本方針の策定
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向け、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識のもと、今後は目標値を設定すべく、具体的に取り組んでまいります。当社グループは「生活のなかで彩りを感じて頂く、新しいサービスを発見し、創造し、提供する」という経営理念の実現を、永続的に行うことを目的とし、廃棄物の削減・資源の有効活用・リサイクル商材の積極的活用・電気設備投資を要さない事業の実現を検討するとともに、多様性の確保に向けた人材登用・育成や、交通機関による移動を要しない在宅勤務の支援、ライフスタイルに配慮した時短勤務・フレックス勤務等の拡大を図り、時代の変化に対応した働きやすさの追求に注力しております。サステナビリティ課題への積極的・能動的な貢献が、当社にとっても重要であるとの認識を持ち、経営戦略の開示にあたっては、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示するよう努めるとともに、今後は、自社のサステナビリティに対する人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ、分かりやすく具体的に情報を開示・提供できるよう、努めてまいります。

 

補充原則2-4-1.中核人材の登用等における多様性の確保
当社グループは、事業環境の変化に則して多様な人材を見出し、性別、国籍、年齢等に関係なく採用・評価を行っており、先進的かつ独創性のある人材確保に注力しております。さらに、優秀人材の育成・確保に向け階層別研修を整えるなど、環境の変化に対応した人事制度や適材適所の配置等を行っております。ただし、女性・外国人・中途採用者が、全従業員に占める割合が少ない当社においては、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等に関する測定可能な目標を設けるまでに至っておりませんが、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用は既に行っており、2021年6月には、新任執行役員に女性を登用するなど、多様性の確保に向けた取り組みをさらに強化しております。今後は、測定可能な数値目標の作成について検討するとともに、育児休業の取得や復職後の時短勤務、リモート勤務の選択など、ライフスタイルに合わせた働きやすさや社内環境の整備・拡充を図ってまいります。

 

原則3-1.情報開示の充実(1)会社の目指すところや経営戦略、経営計画
補充原則4-1-2.中期経営計画の実現
当社グループは、主な中期的な経営目標として、会社の持続的な成長に向けた営業利益の安定的な確保および新たな事業の確立を目標としております。コンビニエンス・ストア事業の再編以降、収益性を重視した経営方針のもと各事業の事業計画の再構築を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ホテル事業においては、各施設の売上高が大幅に減少し、ユニット型ホテル4施設の閉店を余儀なくされるなど、厳しい事業環境が続いておりました。2022年秋以降、入国制限の上限撤廃や『全国旅行支援』の開始に伴い、宿泊需要が急速に回復したことで、各施設の稼働率、客室単価は大幅な改善が続くなど、ホテル事業における事業環境は明るさが見られております。更なる収益回復に向け、客室単価、RevPERに重きをおいたマーケティング施策を進めてまいります。また、マンションフロント事業においては、中・小規模マンション向けの生 活、管理組合、管理会社向け支援ツール「OICOS Lite」の導入物件数の拡大のほか、マンション居住者向けに厳選した商品の販売を行うショッピングサイトの取扱商品の拡充を進めていくことに加え、首都圏以外の地域における有人型受付サービスの積極的進出などに努めていくことで更なる収益拡大を図ってまいりますが、現時点において中長期的な数値目標は定めておりません。

 

補充原則4-3-2.客観性・適時性・透明性ある手続きによるCEOの選任
補充原則4-3-3.CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
当社では、独立した諮問委員会を設置しておりませんが、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、取締役会において、独立社外取締役の適切な関与・助言を得た上で、CEOの選解任を決議することとしております。

 

原則4-8.独立社外取締役の有効な活用
当社の独立社外取締役は1名ですが、幅広い専門知識と豊富な経験に基づき、取締役会では自由闊達な議論がなされており、独立社外取締役としての責務を十分に果たしております。今後の社外取締役の増員につきましては、当社の規模、経営環境等を総合的に勘案し、検討してまいります。

 

補充原則4-10-1.独立した委員会の設置
当社は、機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役3名によって取締役会を構成しており、当社の企業規模などに鑑み、現状の体制が適切であると判断しております。任意の仕組みの活用については、現時点においては、独立した指名委員会や報酬委員会を設置しておりませんが、企業規模の拡大など、必要に応じ、検討いたします。

 

原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件
補充原則4-11-1.取締役の選任に関する方針・手続き
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の人数は9名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定款で定めております。取締役会は取締役5名(監査等委員である取締役を除く)、監査等委員である取締役3名で構成されており、当社の事業規模、事業内容において、経営の効率性を確保する観点から、現状の規模は適正であると考えております。また、その人選においては、各事業分野に精通した人物を選任し、知識・経験・能力のバランスを確保するよう努めております。取締役会の国際性については、当社の事業範囲が国内に限定されているため、現時点においては検討しておりませんが、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性の追求が重要であることを認識しております。ただし一方で、上場から20年近くを経た2018年3月に大規模な会社分割を行ったことにより、社員数は大幅に減少したものの、2001年入社の新卒社員が勤続20年を経て、2021年5月、新任取締役に就任するなど、知識・経験・能力を持つ社内人材の育成が進んでいること、また、様々な分野での活躍経験を授けることを目的に、当社グループ間異動による人事交流も積極的に行うことで多様性の確保に努めていることに加え、役員報酬の総額を当社グループの事業規模に見合った水準に抑えていることもあり、多様性の確保だけを目的とした役員の登用については、その必要性を含め、今後も取締役会において慎重に議論してまいります。なお、スキル・マトリックスをはじめとした取締役の有するスキル等の組み合わせの開示についても、今後、検討してまいります。

 

補充原則4-11-3.取締役会の実効性の分析及び評価
当社取締役会は、定例の取締役会における議論および相互の監督を通じて、取締役会全体の機能の向上を図っており、各取締役の自己評価および取締役会の実効性についての分析・評価およびその開示方法については、引き続き検討してまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

 

原則1-4.いわゆる政策保有株式
当社は、政策保有株式を保有しておりませんが、保有する場合には、「業務提携、取引の維持・強化および株式の安定等の保有目的の合理性」を検討し取締役会で諮ることとします。また、政策保有株式を保有した場合の議決権行使については、当社と投資先企業双方の持続的成長と、中長期的な企業価値向上に資するかを基準として総合的に判断するほか、政策保有株主との取引については経済合理性が十分か検証したうえで、決定いたします。

 

原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度は導入しておりません。

 

原則3-1.情報開示の充実
(3)経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続
当社の取締役の報酬につきましては、基本報酬および非金銭報酬により構成し、監督機能を担う社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととしております。なお、非金銭報酬等については、必要に応じ、取締役会において具体的な方針および内容について検討を行うものとしております。各取締役の基本報酬の額については取締役会決議に基づき代表取締役社長がその具体的内容について委任を受けるものとし、代表取締役は当社の業績水準に加え、各取締役の職責および貢献度を考慮しながら、総合的に勘案して決定しており、その総額は株主総会で定められた報酬限度額の範囲内となっております。また、監査等委員である取締役の報酬につきましては、株主総会で定められた報酬限度額の範囲内で監査等委員会の協議により決定しております。

 

(4)取締役の選解任および指名の方針と手続当社取締役会は、経営陣幹部の選任については、それぞれの経験・実績等を分析しながら、その資質や人格を十分に有する者を指名し、社外取締役候補者については、取締役会全体の監督・監視機能の強化を図るべく、多様な知見や豊富な経験を持つ候補者をそれぞれ指名しております。なお、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会の同意を得ることとしております。経営陣幹部の選任にあたっては、上記の選任要件をもとに取締役会が選任した候補者の議案について独立社外取締役が出席する監査等委員会において適切かどうか検討を行ったのち、取締役会において決議します。経営陣幹部の職務執行に重大な法令・規則違反等があった場合や取締役としての資質や職務遂行能力を満たさないと判断した場合は、取締役会において、独立社外取締役が出席することを必須要件として、役付けの罷免を決議することとしております。

 

原則4-2-1.客観性・透明性のある経営陣の報酬制度の設計及び具体的な報酬額の決定
経営陣の具体的な報酬を決定するにあたっては、事前に独立社外取締役を含む監査等委員会がその内容を審議することで、客観性・透明性ある手続きを確保してまいります。

 

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