2月23日妥当レンジ 22,100円~23,900円
戻り基調は変わらず、パウエル氏議会証言は杞憂か
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<今週はパウエルFRB議長 議会証言に注目集まる>
■先週は21日に公表されたFOMC議事録(1/30-31分)において、「上向きの利上げ軌道が適切である公算が大きい」との見方で理事の見解一致があったこと等からFRBの引き締めペースが加速するとの見方が市場で台頭した。同日にトランプ大統領が「為替レートでの調整が一つの重要な機能になる」と発言したこともあり、日本株が売られる局面もあった。しかしながら、徐々に3月のFOMC(3/20-21)での利上げは織り込みが進みつつあり、市場の反応は限定的なものに留まっている。
■今週は、パウエルFRB議長の議会証言(27日下院・1日上院)が注目される。23日に公表された金融政策報告書に準じた発言になると予想される。言質に市場が過剰に反応する可能性もあるが、結果的には杞憂に終わるように思われる。今週の統計発表は次の通り。28日:鉱工業生産(日本・1月分)、1日:米PCEデフレーター(1月)、米ISM製造業景気指数(2月)、中国財新製造業PMI(2月)、2日:有効求人倍率・失業率(日本1月)、4日:イタリア選挙、独SPD党員投票(連立受け入れの是非)。
■ドイツSPD(ドイツ社会民主党)党員投票は、大連立への是非を問うものであり、まさかの反対となれば連立合意が白紙撤回されるだけに一応は気に留めておく必要があるだろう。
■5日から中国では全国人民代表大会(全人代)の開会が予定されている。25日に発表された憲法改正案では、「国家主席及び副主席の任期制限規定」の撤廃、「習近平の新時代の中国独自の社会主義思想」の憲法前文への盛り込み、国家監察委員会」の設立、など21項目が提示されている。経済・金融政策、外交政策や副主席、人民銀行総裁などの人事面も含めて注視する必要があるだろう。
< IFIS/TIWコンセンサス225は、2週連続全期間プラス>
■2月23日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は2週連続で全期間で前週比プラスとなった。コンセンサスDI(前週比プラスになった企業数の比率)も50台後半を安定的に確保。パウエル議長の議会証言で一時的に市場が揺れても戻り基調に変化ないと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
22,100円~23,900円 | (前回21,850円~23,600円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月23日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月23日)
今期予想EPS | 1317.04円 | (前週 1296.04円) |
来期予想EPS | 1392.55円 | (前週 1383.62円) |
再来期予想EPS | 1556.70円 | (前週 1555.77円) |
今期予想PER | 16.62倍 | (前週 16.76倍) |
来期予想PER | 15.72倍 | (前週 15.70倍) |
再来期予想PER | 13.95倍 | (前週 13.96倍) |
来期予想PBR | 1.17倍 | (前週 1.16倍) |
来期予想ROE | 7.43% | (前週 7.39%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.11% | (前週 7.09%) |
2月23日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
3月追加利上げの可能性も織り込まれつつあると考える。
来期予想ベースのプラス企業比率は、55.9%→57.6%→56.5%→57.9%→57.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、62.7%→61.2%→57.4%→60.3%→57.1%。
安定的なプラストレンドを継続しており、想定不能な事態が生じない限り戻り基調は維持されると考える。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |