2026年春闘の行方は?労使それぞれの事情

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◆来年も「しっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」

12月19日、日銀は30年ぶりとなる0.75%への利上げを実施しました。10月の金融政策決定会合後に植田日銀総裁が言及した、2026年の春闘(春季労使交渉)に向けた「初動のモメンタム」について、「しっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」と確認されたことが、この度の利上げの判断につながりました。

◆2026年春闘に向け、労使とも前向きなスタンス

「初動のモメンタム」は、労働組合と企業(経営者)それぞれの春闘に向けた交渉姿勢と解釈できます。このうち労働組合については、11月、連合が来年の春闘に向けた闘争方針を発表し、全体の賃上げ率の目安を5%以上とするとしています。

一方、企業については、労働市場のひっ迫感と収益の動向に強く影響されます。現在のように人手不足感が強い状況では【図1】、労働力確保のため、企業は高い賃金を提示する必要が生じます。そこで、資金面での対応余力が論点となります。

その点、2025年7~9月期までの実績を見ると、大企業から中小企業まで高水準の収益を維持していることから、2026年は資金面の余力は確保されているとみられます【図2】。実際、経済同友会の調査(第155回「景気定点観測アンケート調査」)や日銀のヒアリング調査において、多くの企業が、2025年並みの賃上げを実施する予定と回答しています。こうした状況から、賃上げに向けた「初動のモメンタム」が確認されたということでしょう。

◆中小企業は業績の反映より労働力確保の必要性

ただ、必ずしも十分な余力がある企業ばかりではないようです。特に中小企業では、自社の好調な業績を賃金に反映させるというよりも、労働力確保の必要に迫られての賃上げという側面が強そうです【図3】。こうした企業では、今後の業況次第で、徐々に賃上げの余力が低下していくことも懸念されます。

政府の総合経済対策には中小企業の収益力強化を目的とする取り組みが含まれています。2026年はこうした政策の実効性にも期待しつつ、企業の収益力強化のすそ野の広がりに目を配る必要があるでしょう。

今後、継続的、安定的な賃上げが実現するかどうか、幅広い企業の賃上げ余力を丁寧に点検することが重要です。

(シニアエコノミスト 藤本 啓)

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