資産価格上昇、マンション短期売買の実態
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◆都心の短期売買比率は12.2%で増加傾向に
11月25日、国土交通省は新築マンション取得の調査結果を初めて公表しました。それによると、新築マンションの短期売買の割合は、東京都を中心に神奈川県、大阪府、兵庫県の一部の地域で、増加の傾向が見られるとしています。また、大規模マンションは規模の小さいマンションと比べて、短期売買比率が高いことも明らかになりました。
2024年1~6月に登記された東京都内の新築マンションのうち、1年以内に売買された割合は8.5%で、前年の5.2%より増加し、東京23区では9.3%、都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)は12.2%と、中心部ほど短期売買の割合が高くなっていることがわかります。さらに、都心6区の中では、新宿区が19.6%と最も高く、渋谷区が14.6%、中央区が12.7%と続きます。東京以外では、神戸市(12.1%)、川崎市(8.2%)、大阪市(7.2%)などが高く、名古屋市(1.9%)、札幌市(1.6%)などは、短期売買割合が低くなっています。該当期間に、どのようなマンションが供給されたかによる影響が大きいため、必ずしもこの調査結果だけで判断はできないものの、短期売買が特定の地域で増加傾向ということは確認できます。また規模別※では、大規模マンション(1棟当たりの保存登記数100戸以上)は、それ以外のマンションと比べて、直近では短期売買割合が高くなっており、実数についても、増加傾向が鮮明になっています。
※東京23区の新築マンションで専有面積40㎡以上の物件が対象
◆国外居住者の東京での取得比率は3%
同調査では、国外居住者の取得状況も調べています。2025年1~6月に登記された東京都での国外居住者による新築マンションの取得比率は3.0%、23区に絞ると3.5%、さらに都心6区では7.5%となります。大阪圏では、大阪府が2.6%、大阪市になると4.3%、京都府が2.3%、京都市では2.5%と、やはり中心部ほど国外居住者の取得比率が高くなっています。購入数全体に占める国外居住者の割合は、2億円未満で3.2%、2億円以上で3.8%となっており、高額物件の購入に偏っているというわけではなさそうです。東京23区で新築マンションを取得した者のうち、国外居住者の国・地域については、コロナ禍以前から中国、香港、台湾が多く見られましたが、直近では台湾が全体の2/3程度と最も多くなっています。
今回の調査は、国外に住所がある人などによる実需に基づいていない投機的取引が、マンション価格の高騰の一因との指摘を受けて実施されたものですが、国外居住者による取引の影響という結果は示されませんでした。分析は不動産登記情報を使い、国籍ではなく住所で区別しているため、購入者(法人含む)が日本国内に住所がある場合は、調査の対象となりません。そのため国内に住む外国人による売買の実態はさらに多いとみられます。
一方、国籍を問わず、短期売買自体が増えているという点は明らかになりました。従来、
投資家がマンションを取得する場合は、その後の賃貸収入を考慮して価格を見定めてい
ましたが、現状では、投機を含む値上がりを追求した物件も増えてきているとみられます。
都市部におけるマンションの高騰は、実需の国民にとっては大きな問題です。
購入を検討する場合は、平常時の実勢価格も考慮したほうが良いでしょう。
(チーフストラテジスト 上野 裕之)
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