トランプ関税に振り回されるマーケット
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◆下値目処をどうみるか?
4月9日、トランプ米政権は「相互関税」を発動しましたが、同日中に中国以外の国・地域に対し、その上乗せ分について90日間の一時停止を発表しました。5日に発動済みの全世界一律10%の基本税率は維持します。相互関税は貿易状況に応じて各国・地域ごとに税率が上乗せされるもので、関税率はEU(欧州連合)が20%、英国、豪州が10%とされた一方、カンボジア49%、ベトナム46%、台湾32%、日本は24%が適用されており、全体的にアジア諸国に厳しい内容でした。今回の決定で中国以外は(自動車などを除き)一律10%が課されましたが、中国が米国に対抗措置を打ち出したことでさらに上乗せされ、税率は145%まで引き上げられることになりました。
金融市場は追加関税が現実となりだした3月下旬から大荒れの状況です。国内では、4月7日にかけて株価は急落、長期金利は急低下、為替は円高・米ドル安へと大きく動き、その後もボラティリティー(変動性)が大幅に高まっています。日経平均株価が▲10%を超える下落局面は過去も何度となく起こっています。記憶に新しいところでは2024年8月の日銀利上げ後の急落です。この時は、7月の日銀金融政策決定会合の結果発表日(7/31)の終値39,101円から8/5の31,458円までで▲20%下落しました。足元では、トランプ関税の落としどころがつかめない中で下値模索が続いている状況ですが、ここから先のマーケットでは何を頼りに考えれば良いのでしょうか。
トランプ関税については第一次トランプ政権時の貿易戦争が参考になるかもしれません。①2018年10月4日、マイク・ペンス副大統領(当時)が講演で中国を強く批判したことをきっかけに日経平均株価は下落し始めます。その後、元米軍司令官が米中戦争の可能性にまで言及するなど状況は深刻さを増します。②11月1日にトランプ氏と習近平中国国家主席が電話会談を行いますが、この時は目立った進展はありませんでした。③12月4日には、ポンペオ米国務長官(当時)が中国の影響力が強まっていた国際協定から脱退する方針を示し、WTO(世界貿易機関)事務局次長も世界的貿易システムの危機を警告しました。④12月11日にムニューシン米財務長官、ライトハイザー米通商代表と劉鶴中国副首相が自動車関税の引き下げで合意、⑤12月28日に米通商代表部は対中貿易関税の品目適用除外を発表し、両国の関係は最悪期を脱します。3カ月足らずの間に株価は▲21%下落し、底入れとなりました。【下図参照】
今回の下落相場は、トランプ大統領が25%の自動車関税に署名した3月26日(38,027円)を起点に、前回同様の▲20%程度を目途とした場合、日経平均株価の下値は30,400円程度とみることもできそうです。
強硬姿勢を崩さないトランプ大統領、一時的な景気悪化は容認姿勢を示すものの来年秋の米国中間選挙に向けては米国経済を意識せざるを得ないとみられます。
(チーフストラテジスト 上野 裕之)

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