2018年の世界債券市場の振り返り 米国債利回りは上昇、日独では低下
2018年の世界債券市場の振り返り 米国債利回りは上昇、日独では低下
【ポイント1】米国債利回りは小幅に上昇
■2018年の主要国10年国債利回りは、英国の欧州連合(EU)離脱問題に揺れた欧州(ドイツ)と、金融緩和姿勢を維持した日本で低下しましたが、景気の拡大を背景に金融緩和の解除を進めた米国では上昇しました。しかし、年後半だけを見ると、トランプ政権の通商政策が保護主義的な傾向を強めたこと等から、世界経済の先行き不透明感が増したことや、原油価格が急落したこともあり、米国の利回りも低下しました(12月20日現在)。
■新興国の10年国債利回りは、年初から秋口にかけて概ね上昇したものの、その後は低下しました。米国をはじめとする主要国の利回り低下に加え、ブラジルでは10月の大統領選挙で財政健全化を目指すボルソナロ氏が勝利したこと、またトルコでは米国との関係改善期待が高まり、トルコリラが持ち直してきたこと等が好感されたためです。
【ポイント2】ハイイールド債利回りは上昇
■米国の地方債、社債の利回りは、上昇しました。金融緩和の解除が進められたためですが、特にリスク回避の動きが強まった年後半は、ハイイールド債の利回り上昇が顕著でした。一方、安全性、利回り水準とも相対的に高い地方債の利回りは、比較的小幅な上昇となりました。
【今後の展開】長期金利は小幅変動に止まろう
■2019年も、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続する見通しです。もっとも、インフレ率が低い水準で落ち着いているため、利上げの回数は2回程度に止まる見通しです。欧州経済の回復も緩慢と予想されるため、国債利回りの変化は緩やかなものになりそうです。社債については、資金流入が鈍く、軟調な動きが続きそうです。
(2018年12月21日)
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