運用者の視点:『広深港高速鉄道』が開通

運用者の視点:『広深港高速鉄道』が開通

「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、見出したことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回は、9月23日に開通した、香港と中国広東省の広州市を結ぶ『広深港高速鉄道』についてです。

【ポイント1】香港と中国本土の高速鉄道が接続

■香港と中国広東省の広州市を結ぶ、『広深港高速鉄道』が9月23日に開通しました。これにより、香港は中国本土の25,000㎞におよぶ高速鉄道ネットワークに接続され、香港側の西九龍駅を起点に深セン、広州を経由して、北京や上海など中国各地の44の駅と乗り換えなしで結ばれることになりました。香港側の運営を担う香港鉄路(MTR)によると、香港区間で時速200㎞、中国本土区間は最高350㎞で運行し、これまで在来線で2時間前後かかっていた香港-広州間は最短47分になります。

【ポイント2】地域発展計画の中心プロジェクト

■『広深港高速鉄道』は、2018年3月の全人代(全国人民代表大会、国会に相当)にて重要な地域発展計画に位置付けられた「グレーターベイエリア構想」の中心プロジェクトです。この地域には、世界の金融センターの1つである香港や、ハイテク企業など新興産業が集まる深セン、自動車などの大型製造業や輸出産業が集積する広州、観光都市のマカオなどがあります。「グレーターベイエリア構想」の目的は、都市間の連携を強めて産業の集積と高度化を進め、東京やニューヨークなどに匹敵する経済圏として発展させることです。

 
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【今後の展開】観光産業に加え、幅広い産業への波及効果を期待

■『広深港高速鉄道』開通の効果は、早くも観光面で確認されています。先日、中国のオンライン旅行代理店最大手のシートリップ社が発表した中国国慶節期間の人気旅行先ランキングによると、かつての爆買いブームが去り、中国人観光客の存在感がやや低下していた香港が、タイ、日本に続いて第3位と前年の6位からランクアップしました。

■今後は観光産業にとどまらず、域内の不動産業や金融業、製造業など幅広い産業への波及効果も注目されます。「グレーターベイエリア構想」の前進は、息の長い投資テーマとして投資家の評価が高まっていく可能性があります。

(2018年10月24日)

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