インドの経済・市場動向(2018年9月後半)インドルピーは安値更新、インド準備銀行は追加利上げへ
インドの経済・市場動向(2018年9月後半)
【ポイント1】インドルピーは最安値更新
株式市場も通貨安を嫌気し調整
■8月のトルコショック以降、新興国通貨全般に下落圧力が強まるなか、経常収支が赤字のインドの通貨ルピーにも売りが膨らみ、対米ドルでの下落が続いています。9月13日のトルコの予想を上回る利上げで多くの新興国通貨は反発しましたが、インドルピーは目立った買い戻しがみられず、その後最安値を更新しました。
■インド株式市場は、インドルピーの下落に伴う資金流出懸念や来年に総選挙を控え政治の不透明感が高まっていることなどから9月に入り調整局面を迎えています。
【ポイント2】8月の消費者物価上昇率は鈍化
基調的なインフレ率は強含み
■インドの8月の消費者物価上昇率は前年同月比+3.7%と、食品価格の落ち着きの影響で7月の同+4.2%から鈍化しました。ただし、当社が計算する基調的なインフレ率をみると、8月は同+5.1%と、7月の同+5.0%からやや加速しました。通貨安・原油高による調達コストの上昇が要因です。
【今後の展開】インド準備銀行は追加利上げへ
■インドルピーの下落に伴い、ルピー建ての原油価格は9月に入り年初来高値を更新しており、基調的なインフレ率は先行きも加速が続く見込みです。また、通貨安・原油高による調達コストの上昇は、家計の期待インフレ率の上昇にもつながりやすいと考えられます。こうした調達コストや期待インフレ率の上昇を踏まえ、インド準備銀行は次回10月の金融政策決定会合で追加の利上げを行うとみられます。
■株式市場はインドルピーの下落や政治の不透明感が重石となっているものの、インド経済の高い成長率や企業業績の拡大を背景に底堅い展開が期待されます。
(2018年 9月21日)
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