米国経済と金融政策の見通し(2018年8月)緩やかな物価上昇のもとで、力強い景気拡大が続く見通し
米国経済と金融政策の見通し(2018年8月)
【ポイント1】景気は力強く拡大
労働市場はすこぶる好調
■2018年7月の非農業雇用者数は前月比15.7万人増となりました。市場予想の同19.3万人増を下回りましたが、振れが大きいため過去3カ月の平均をとると、同22.4万人増となり、雇用の基調に変化はないと言ってよさそうです。一方、失業率は3.9%でした。米国の労働市場は、非常に好調です。
■アトランタ地区連邦準備銀行が開発した経済モデルによれば、8月30日までに公表された経済指標をもとに推計した18年7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+4.1%です。4-6月期は同+4.2%でしたので、米経済は引き続き力強く拡大していると言えます。
【ポイント2】物価は緩やかに上昇
物価上昇率はFRB目標に到達
■景気の拡大に伴い、物価も緩やかに上昇してきました。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)コアデフレーターの7月は、前年同月比+2.0%となり、FRB目標値に到達しました。ただし、物価の上昇に加速感はありません。インフレ期待の安定等を考え合わせると、ここからさらに大きく上昇する可能性は低いでしょう。
【今後の展開】FRBは緩やかな利上げを継続へ
■FRBは、7月31日~8月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導レンジを1.75%~2.00%に据え置きました。景気や物価の動向を踏まえると、FRBは3.00%程度と考えられる中立金利(景気を刺激も抑制もしない金利水準)に向けて、緩やかな利上げを継続すると予想されます。
■今年の最重要イベントは、11月6日に予定されている中間選挙です。今回の選挙はトランプ政権に対する信任投票という意味合いを持ちます。上院は改選議席数の少ない共和党が優位ですが、下院の共和党は苦戦が伝えられています。通商面や安保面で、トランプ大統領の支援が続きそうです。
(2018年 8月31日)
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