緩やかな上昇基調を辿る原油価格(2018年8月)景気拡大に加え、協調減産が奏功して原油需給が好転
緩やかな上昇基調を辿る原油価格(2018年8月)
【ポイント1】価格は堅調に推移
1バレル当たり70ドル近傍で推移
■北米の代表的な原油価格であるWTI原油価格は、 2018年6月29日に当面のピークとなる1バレル当たり74.15ドルをつけました。その後も、同70ドル近傍での堅調な推移となっています。
【ポイント2】需給バランスが好転
2018年上半期は小幅な需要超過
■堅調な原油価格の背景には、需給バランスの好転があります。「石油輸出国機構(OPEC)月報」の8月号によれば、18年上半期の原油需要は世界全体で日量9,779万バレル、これに対して供給量はOPECおよび非OPEC産油国による協調減産等が功を奏し、同9,776万バレル(うちOPECの生産量は同3,229万バレル)にとどまりました。差し引き同3万バレルの需要超過となります。
■僅かながらも需要超過の状態となるなかで、ベネズエラやイランの供給不安が台頭してきました。ベネズエラでは、17年8月の米国の経済制裁を受け、国営石油会社が資金調達難に陥ったため、原油生産が急減しています。
■一方、イランでも、16年1月に解除された米国による経済制裁が18年11月までにすべて復活することから、今後さらなる減産の公算があります。
【今後の展開】需給は良好だが、対イラン経済制裁の影響等に注意が必要
■需給動向から判断する限り、原油価格は今後も堅調に推移する見通しです。ただし、対イラン経済制裁や、6月下旬のOPEC総会で決定された減産緩和の影響等には注意を払う必要がありそうです。
■一方、原油価格の大幅な上昇は、米シェールオイルの増産を誘発する可能性を高めます。これを踏まえると、原油価格が1バレル当たり70ドルを大きく超えて上昇する公算は小さいと見られます。
(2018年 8月29日)
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