ブラジル経済はストライキの影響で減速(2018年7月)4-6月期の景気は下振れ、その後の回復は緩やか

ブラジル経済はストライキの影響で減速(2018年7月)

【ポイント1】5月のスト発生で下振れ

物流網がまひし、経済が混乱

■ブラジル経済は、2018年1-3月期の実質GDPが前期比+0.4%と、5四半期続けてプラス成長となるなど消費主導の緩やかな回復が続いています。しかし、5月下旬に燃料価格の高騰に抗議するトラック運転手の大規模ストライキが発生し、物流網が寸断され、経済が混乱しました。このため、4-6月期の成長率は減速が避けられません。

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【ポイント2】鉱工業生産は大幅マイナス

インフレ率は急上昇

■5月の鉱工業生産は、トラック運転手のストライキの影響で前年同月比▲6.6%と、4月の同+9.0%から大きく落ち込みました。10日間にわたった物流網のまひは一時的なショックとはいえ、6月の生産も影響を受けそうです。

■6月の消費者物価指数は前年同月比+4.4%と、ストライキの影響で5月の同+2.9%から急加速しました。電気・ガソリン・食品などの価格上昇が目立ちました。インフレ率はブラジル中央銀行(中銀)の物価目標(+4.5%)に近づきました。

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【今後の展開】7-9月期以降は回復するものの、景気は当面力強さを欠く

■トラック運転手のストライキの影響は4-6月期に景気の下押し要因として働き、景況感が悪化したことも踏まえると、2018年の経済成長率は下方屈折が必須と考えられます。7-9月期以降は経済活動が回復するものの、10月の大統領選挙を控えて政治の不透明感が続くため、当面景気は力強さを欠くとみられます。

■中銀は、2016年10月以降今年の3月まで利下げを12会合連続で行ってきましたが、通貨レアルの下落を受けて、5月の金融政策決定会合以降は政策金利を据え置いています。これまでの金融緩和サイクルは終了したとみられ、足元の消費者物価が中銀の目標に近づくなか、中銀は当面現状の金融政策を維持すると思われます。

 

(2018年 7月24日)

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