『街角景気』は天候要因で再び悪化

2018/06/12

『街角景気』は天候要因で再び悪化

「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手やコンビニエンスストアの店長など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。5月の『街角景気』の現状判断DIは、天候要因の回復により2カ月連続で改善していた4月分から悪化しました。先行き判断DIも前月より低下して、景気判断の分岐点となる50を再び下回りました。

【ポイント1】現状判断DIは47.1と前月より1.9ポイント悪化

先行き判断DIも49.2ポイントと悪化、景気分岐点50ポイントを下回る

■5月の『街角景気』によると、現状判断DIは前月から1.9ポイント低下して47.1となりました。内訳をみると、雇用関連が小幅に上昇しましたが、小売関連やサービス関連などの家計動向関連がやや大きく低下しました。企業動向関連も低下しました。

■先行き判断DIは前月から0.9ポイント低下して49.2となり、景気判断の分岐点とされる50ポイントを再び下回りました。雇用関連は小幅に上昇したものの、家計動向関連、企業動向関連でDIが悪化しました。

【ポイント2】ウォッチャーのコメントを分析

ガソリン価格の高騰などが重石に

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、「寒暖」の差など、気温の変化が大きかったことを示す単語が「鈍い」といった単語と結び付けて使われており、天候要因が景況感の重石となったようです。また、運送料や原材料、ガソリン価格の高騰など「値上げ」に関する単語の使用頻度は高止まりしており、引き続き景況感を下押ししています。

■先行きについては、通商問題に対する単語の使用頻度が増加しました。トランプ米大統領の通商問題に対する発言が二転三転していることが、先行きの景況感の重石となった可能性があります。また、ガソリンの高騰や人出不足問題への言及も増加しています。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な方法として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

 

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【今後の展開】天候や賃上げによる回復を期待

■内閣府は、 『街角景気』について現状の基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」と下方修正しました。一方、先行きについては、「人手不足、コストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」との判断を維持しました。雇用所得環境は引き続き堅調であり、加えて5~7月は暑い夏になることが予想されていることから、天候要因が回復することにより、景況感が徐々に上向くことが期待されます。

(2018年 6月12日)

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