インドの経済・市場動向(2018年5月後半)インドルピーは下落続く、株式市場も反落
インドの経済・市場動向(2018年5月後半)インドルピーは下落続く、株式市場も反落
【ポイント1】インドルピーは下落続く
長期金利は利上げ観測から高止まり
■インドルピー相場は、対米ドルで下落基調が続いています。米国金利の上昇に伴う米ドル高により、新興国からの資本流出圧力がかかるなか、経常収支赤字国のインドの通貨ルピーは、約1年半ぶりの安値水準となりました。最近の原油価格の上昇もインドの物価上昇や経常赤字拡大につながるため、通貨安要因として嫌気されています。また、原油高と通貨安を受け、インド準備銀行が早期に利上げに踏み切るとの観測から債券市場も軟調気味で、長期金利は7.8%台に高止まりしています。
【ポイント2】株式市場は反落
原油高や通貨安に伴う利上げ観測を嫌気
■インド株式市場は、経済成長の加速見通しを背景に3月下旬に底入れし、5月中旬にかけて過去最高値近辺に値を戻していましたが、その後は、ドル高に伴う新興国の資金流出懸念に加え、原油価格の高騰による企業収益への悪影響や、通貨安を警戒したインド準備銀行の利上げ観測などが嫌気され、反落しました。
【今後の展開】金融引き締めなどから一段の通貨安には歯止めがかかる見通し
■インドルピー相場は対米ドルで、原油価格の上昇や内需増加による経常赤字拡大観測から、当面下落圧力をうけるものの、インド準備銀行が金融引き締めに転じるとみられることや、購買力平価の観点では売られ過ぎ水準に近いことから、一段の下落には歯止めがかかると思われます。
■5月に行われたカルナタカ州議会選挙で、モディ首相率いるインド人民党(BJP)は第1党となりましたが、過半数には届かず、その後の多数派工作に失敗し、野党連合に敗北した形となりました。来年に予定される総選挙への影響が懸念される結果となり、今後の地方選挙の動向が株式市場の注目材料になりそうです。
(2018年 5月25日)
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