米国経済と長期金利の見通し(2018年3月)財政拡大が米経済を押し上げ、長期金利には上昇圧力
米国経済と長期金利の見通し(2018年3月)
【ポイント1】足元の景気は鈍化
天候要因による一時的なもの
■アトランタ地区連邦準備銀行が開発した経済モデルによれば、3月23日までに公表された経済指標をもとに推計した18年1-3月期の米実質GDP成長率は、前期比年率+1.8%にとどまりました。
■成長率の下振れは、1月の大寒波の影響や税還付の遅れといった一時的な要因によるところが大きいと見られます。米国経済が変調をきたしたわけではありません。
■実際、労働市場は好調を維持しています。2月の非農業雇用者数は前月に比べ+31.3万人と大幅に増加し、失業率は4.1%と低い水準になりました。
【ポイント2】財政拡大で景気再加速へ
物価上昇率は低い水準で安定
■雇用が順調に伸びていることに加え、減税や歳出拡大の効果も表面化してくることから、米景気は4-6月期辺りから再び上向く見通しです。
■一方、物価は落ち着いています。2月の消費者物価のうち食品・エネルギーを除いたコア指数の上昇率は前年同月比+1.8%と、米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値を引き続き下回りました。
【今後の展開】長期金利は徐々に上昇へ
■FRBは景気、雇用の順調な拡大を背景に、3月20日~21日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導レンジを0.25%引き上げ、1.50%~1.75%とすることを全会一致で決定しました。
■FRBは今後も利上げを継続すると予想されます。財政支出拡大に伴う国債の増発等も見込まれることから、米長期金利には上昇圧力がかかりそうです。もっとも、物価上昇率が低い水準にあるため、金利の上昇は緩やかなものにとどまると考えられます。
(2018年 3月29日)
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