緩やかに回復するブラジル経済(2018年3月)景気は緩やかな回復続く、利下げは最終局面
緩やかに回復するブラジル経済(2018年3月)景気は緩やかな回復続く、利下げは最終局面
【ポイント1】17年GDPは+1.0%
3年ぶりにプラス転換
■3月1日に発表された2017年10-12月期の実質GDPは前期比+0.1%と、個人消費の停滞から市場予想(ブルームバーグ集計+0.3%)を下回ったものの、4四半期続けてプラス成長となりました。この結果、2017年の実質GDPは前年比+1.0%と、3年ぶりのプラス成長に転換し、景気は緩やかな回復基調にあることが確認されました。
【ポイント2】インフレ率は低位安定
3月に最後の利下げの可能性
■18年2月の消費者物価は前年同月比+2.8%と、前月から小幅ながら低下しました。ブラジル中央銀行の物価目標(+4.5%±1.5%)の下限をやや下回っており、インフレ率は落ち着いています。
■中銀は2月7日の金融政策委員会で、政策金利を0.25%引き下げ、6.75%としました。利下げは11会合連続で、政策金利は過去最低を更新しました。ただし、中銀は声明文で、金融緩和サイクルの終了を示唆しました。3月21日の金融政策委員会では、追加利下げが行われる可能性がありますが、金融緩和は最終局面とみられます。
【今後の展開】景気は緩やかな回復が続くが、政治リスクに注意
■ブラジル経済は、インフレ率の落ち着きと緩和的な金融環境を背景とした個人消費や投資主導の回復軌道に乗り、今後も緩やかな回復を続けるとみられます。中銀は3月も追加利下げを行う可能性があるものの、それで金融緩和サイクルを終了し、当面は様子見姿勢に転じる見通しです。
■テメル大統領は治安悪化が深刻化するリオデジャネイロ州に対し、12月まで軍が治安維持活動を指揮する大統領令を発令しました。この間は憲法改正が出来ないため、テメル政権は年金改革法案を棚上げしたことになります。財政緊縮を掲げる同政権の支持率は依然として低く、10月に行われる大統領選挙後、次期大統領が構造改革路線を継続するか、極めて不透明で、経済の波乱要因となるリスクがあります。
(2018年 3月 15日)
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