良好な状態を保つ米国の雇用統計(2017年12月)雇用は順調に拡大、賃金は緩やかに上昇
良好な状態を保つ米国の雇用統計(2017年12月)雇用は順調に拡大、賃金は緩やかに上昇
【ポイント1】雇用は約15万人の増加
雇用の基調に変化はない
■2017年12月の非農業部門雇用者数は、前月比14.8万人の増加となりました。
■ブルームバーグ集計による市場予想の平均、同19.0万人増には届きませんでしたが、3カ月移動平均で測った雇用の増加ペースは20.4万人と、20万人を超えています。労働市場の基調に変化はないと考えられます。
【ポイント2】失業率は低水準で横ばい
賃金は増加するが、勢いには欠ける
■失業率は前月比横這いの4.1%でした。米国の労働市場は概ね完全雇用の状態にあると見られます。
■賃金上昇率は前月比0.3%増、前年同月比で2.5%増となり、ともに市場予想と一致しました。それぞれ前月の同0.1%増、同2.4%増を上回りましたが、増加の勢いには引き続き力強さが感じられません。
■物価の上昇が鈍く、コストの増分を製品価格に転嫁し難いことから、企業が賃金の抑制に力を入れているためと考えられます。
【今後の展開】緩やかなペースで金融緩和の解除は進められる見通し
■雇用統計が公表された8日の米国市場では、堅調な雇用統計の内容を受けて株価が上昇、債券価格は下落(債券利回りは上昇)しました。ただし、雇用の伸びが市場予想に届かなかったうえ、米連邦準備制度理事会(FRB)に利上げの加速を促すほどの賃金上昇率の高まりが見られなかったことから、利回りの上昇は小幅なものにとどまりました。
■米国の景気・雇用は順調に拡大を続けています。失業率は完全雇用を示すとされる水準まで低下してきましたが、賃金、物価とも依然として低い上昇率にとどまっているため、FRBが利上げの速度を速める必要性は低いといえます。今後も金融緩和の解除は、「緩やかなペース」で進められる公算が大きいと考えられます。
(2018年 1月 9日)
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