日本株式市場の見通し 新局面に移行するための条件とは
日本株式市場の見通し 新局面に移行するための条件とは
【ポイント1】「デフレなき回復」でも日本株式市場は更なる高値更新が可能
名目GDPで前年比2%程度の成長が継続する見通し
■日経平均株価が1990年代後半の高値を抜いてきたのは、金額で測ったGDPである名目GDPが20年前のピークを超えてきたことが大きな背景と考えられます。名目GDPのピークからアベノミクス開始まで(1997年10-12月期から2012年10-12月期)とアベノミクス開始から現時点まで(2012年10-12月期から2017年7-9月期)を比較すると、名目GDP成長率が年平均▲0.6%から同+2.3%に加速しました。
■ポイントは、GDPデフレーターが年平均▲1.1%から同+0.8%に約2%も変わったことであり、「デフレではなくなった」ことです。今後も名目GDPは前年比+2%程度の成長が予想され、「デフレではなくなった」状況が続くと見込まれることから、日経平均株価の更なる高値更新は十分可能と期待されます。
【ポイント2】新局面とは「緩やかなインフレを伴う回復」
設備投資と雇用者報酬に注目
■日本が「デフレなき回復」からさらに一歩進んで、「緩やかなインフレを伴う回復」に移行できれば、名目GDP成長率が更に高まり、日本株式市場の一層の上昇が期待できます。そのための条件として、①企業の設備投資が継続し、②それが雇用や賃金を通じて雇用者報酬の増加につながり、③最終的に資本効率の改善(例えば株主資本利益率(ROE)の上昇)に結びつくことがあげられます。まずは、①、②が着実に進むことが重要と考えられます。
■企業は設備投資を活発化させています。雇用者報酬も緩やかですが堅調に改善しています。設備投資の回復が一時的なものに終わらずに、年率で+3%ぐらいの成長が続く状況となれば、賃金も上昇してくると思われます。
【今後の展開】設備投資の回復持続でわかる企業活動の変化に注目
■世界経済は、アジアを成長のドライバーとして緩やかな拡大が続く見通しです。日本経済も、輸出と設備投資が景気をけん引すると見られます。したがって、企業が設備投資の増額を継続できる、という確信を持てる段階となれば、賃金も上昇するなど「緩やかなインフレを伴う回復」に移行すると見込まれます。この可能性が高まれば、日本株式市場も新局面に移行すると考えられます。
(2017年 12月 14日)
印刷用PDFはこちら↓
今日のマーケット・デイリー 日本株式市場の見通し 新局面に移行するための条件とは
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会